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ANAオープン 2010

原口鉄也が、弟分の薗田峻輔と揃って4位タイ

北海道特有の洋芝はもともと得意だが、今年の輪厚は特に、いつものと少し様相が違うと、原口は感じている。「芝が薄くて、地面が固い。しかもグリーンも固いから、スピンがかかりづらい」と、さすがの原口も手こずっているそうだが、「その分、アプローチとパットが凄く良いのでなんとかしのげています」と、初日から2つずつ伸ばして4位タイで、決勝ラウンドに進出した。

シード5年目の36歳だが、まだ未勝利。かわりに、後輩の祝福ばかりしている。今年は6月。ミズノオープンよみうりクラシックでは、16歳も下の応援にわざわざ駆けつけた。

薗田峻輔とはスポンサーが同じ「TOSHIN」という縁で、仲良くなった。今季から本格参戦の後輩は、最初は慣れない環境に「鉄也さん、鉄也さん」とよくなついてきたものだが、初優勝をあげたとたんに、「鉄也さんも頑張ってください」などと「いきなり上から目線になったような・・・・・・」と、苦笑する。

でも、「可愛い後輩」という気持ちは相も変わらずむしろ、それが「僕には良い刺激」。後輩に先を越されて「悔しい」という気持ちが「逆に原動力になる」と、原口は言う。

「年数だけ先輩でも意味がない、と思える」。
薗田には機会あるごとに「原口さんも早く勝ってください」と言われるが、「早く後輩に心配されない先輩にならなくてはいけない、と強く思う」。

薗田のお父さんには「息子が生意気言ったら、ビシビシ叱ってやってください」と機会あるごとに言われるが、近ごろでは「僕がビシビシ言われちゃってます」と、頭を掻いたがシビアな勝負の世界では「それもあり」と、むしろ甘んじて受け入れている。

また現在、母国・韓国で兵役中のドンファンも、13歳年下の大親友。前夜も、電話で話した。「鉄也さんは、3日目、4日目にいつも崩れるからなあ」と、
これまた後輩とは思えないキツイ一言に「そろそろあいつらを、ギャフンと言わせたい」と、ますますやる気に。

そして、この日は薗田も燃えた。通算1オーバーと予選通過も危ない位置からの午後スタートも、スコアボードに午前組の「原口」の名前を見付けてこちらもがぜん、やる気に。

「とにかく鉄也さんに追いつこうと思った」と、猛チャージ。
前半アウトの9ホールは7番パー4で、残り178ヤードを6番アイアンで直接入れて、イーグルを奪うなど「まるで18ホール回りきっちゃったと思うくらい、いろんな出来事があって」と、めまぐるしい1日を振り返る。

怒濤の追い上げは、後半にやや失速したが、「今日は強い風もうまく利用してプレーが出来た」とベストスコアタイの67は、ついに先輩を捉えてV争いに加わった。しかも3日目は、最終組の一つ前の組で、夢の直接対決。2人にとっても楽しみな週末になりそうだ。

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