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スチュワート・シンク(米国)が全英オープン5度の覇者トム・ワトソン(米国)とのプレーオフを制してメジャー大会初優勝!
スタート直後から大混戦となった競技最終日。シンクも前半はなんとかイーブンパーにまとめたが、後半は出入りの激しいゴルフとなり、誰が優勝するか全く予想の付かない展開が続いた。最終18番ホールを2位と1打差の単独首位で迎えたトム・ワトソン。誰もが約2メートルほどのパーパットを難なく沈め優勝すると信じて疑わなかった。しかし、ターンベリーの女神はシンクに微笑んだ。
ワトソンは18番ホールをボギーとし、優勝の行方はプレーオフに持ち越された。
プレーオフは5番、6番、17番、18番ホールの4ホール(ストロークプレー)で行われ、1ホール目はシンクがバーディ、ワトソンがボギー、2ホール目の6番ホールは両者ともパーセーブ。一進一退が続く中、勝負の明暗を分けたのはプレーオフ3ホール目の17番ホール。4日間高いフェアウェイキープ率を誇っているワトソンがティーショットを左の深いラフに打ち込んだ。脱出しようと試みたワトソンだったが、そのホールダブルボギー。シンクは手堅いショットでバーディを奪い3打差をつけ勝負に王手をかけた。プレーオフ最終ホールではまともやティショットが乱れたトムワトソンに対し、バーディを決めたシンクがメジャー初制覇を成し遂げ優勝賞金優勝賞金75万ポンド(約1億1500万円)を獲得した。
ホールアウト後、シンクは「本当にどれくらい待ち望んでいた優勝だったんだろう。今までおしいところで逃してきたし、この天候のなかで勝てるかどうか本当にわからなかった」と、念願のメジャー制覇について勝ったシンク。2001年全米オープンの最終ホールで40cmのボギーパットを外してプレーオフ進出に1打及ばず3位フィニッシュという苦い経験もあり、何がなんでもという強い気持ちでこのプレーオフに挑んだ。今シーズンは自身のパッティングを改善しようと長尺パターをすべて捨ててプレッシャーに負けない精神力の強化にも取り組んできた。その結果、パッティングの調子がよくなり今年の全米オープンを27位タイでフィニッシュしたことで、シンクは徐々に自信を取り戻してきた。
会見では素直に優勝の喜びを語る一方、ワトソンとのプレーオフには特別な思いがあったようで、「今週、トムの素晴らしいプレーを見てきていたし、自分が彼とメジャーでプレーオフを戦うなんて想像もできなかった。特にマスターズの練習ラウンドで彼の打つ正確なショットを見てきた後だったしね。信じられない夢がかなったようだった。みんながトムを応援していたしね」と、ワトソンの最年長優勝を阻止した複雑な胸の内もあかしていた。