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フジサンケイクラシック 2013

谷原秀人が首位タイに

本人よりも、むしろ外野が大騒ぎだ。富士桜の16番は187ヤードのパー3。7番アイアンで打った、ティショットあわやホールインワンのスーパーショット。
背後で大きな声がした。
「350万円!」。同じ組で回る、後輩の藤本佳則。
その意味を先輩は、瞬時に理解した。「多分、それだけ分けろと言うことだろう、と」。16番は1年ごとに、ホールインワン賞が、100万円ずつキャリーオーバーしていく名物ホールだ。
2007年からたまりにたまった賞金は、今や一攫千金の700万円。

それにしたって・・・。「半分もかよ!!」。ただ一緒に回ったというだけなのに、その分け前は多すぎないか?
しかし、普段から可愛がっている後輩は憎めない。初日から、和気藹々のラウンドは、前にも同組で回った試合で、気が緩みすぎて失敗した経験から油断は禁物だが、それにしても藤本とのラウンドは、やっぱり楽しい。

もっともこの日は、前半でボギーが先行して「相変わらず当たらないゴルフ」。ショットの不振で、一度は上位争いから名前が消えたが、ラウンド中に必死の調整で、立て直してきた。

「体重配分を変えたり。やっつけですよ」と、後半は4つのバーディにも2007年のチャンピオンは、苦笑いで優勝争いに加わった。

ちなみに、後輩の藤本もこの日はボギーなしの66で回って、9位タイまで浮上してきた。初日は、富士山からの目があると言われるグリーンに悩んで、「昨日は全然ダメだった」。それでも根気よく、世界文化遺産の位置を確認しながら傾斜を計算してみたり、試行錯誤の中で「今日はたまたま入ってくれた」と、スタートの1番で5メートルのチャンスを沈めて、「あれがけっこう大きかった」と、早々に流れをつかんだ。
夏から取り組んでいるパワーフェードにも自信がついてきて、「あとは、パットさえ入ればずっと上で戦える」。
先輩との楽しいラウンドに、ますます気持ちも盛り上がる。予選ラウンドは、東北福祉大のゴルフ部OB対決で谷原と、池田勇太も「どちらも凄い先輩ですけど、楽しく回れる。気も遣わなくていいですしね」。
つい言ってしまってから、「いや、本当は遣わんとあかんのですけど。むしろ2人が気を遣って僕にいろいろしてくれるので、とても回りやすい」と、伸び伸びとスコアを伸ばした2日間。
「タニさんは、16番が入りそう。入ったら、半分くれないかな。タニさんやったら、くれるやろな」。そう思って思わず「350万!」と、叫んだのだそうだ。

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