記事

中日クラウンズ 2015

中嶋常幸が上がりの連続バーディに

スコアカードの提出を終えて、クラブハウスに通じる和合の小道も気は逸る。待ち受ける報道陣の顔を見るなり、開口一番。「俺を誰だと思ってる!!」。この決めぜりふを言いたいために、ゴルフをやっているというのは大げさだけど、「ごめん、本当にごめん・・・。でも、これだけは言わせて!」と、59歳がまるで駄々っ子。

無理はない。ここ和合で、上がりのホールこそ、真価を問われるコースで連続バーディ。17番のパー3は、バンカーからチップイン! ここ和合で行われた日本オープン(1989年)で、やはり同じバンカーから直接入れて大会を制したジャンボ尾崎。そして、今年もTBSのテレビ解説をつとめたマスターズは、最終日の「15番のミケルソン(チップインイーグル)。あれを思い出しながらやった」と“イメトレ”もばっちりだった。

そして迎えた18番は、残り149ヤードの2打目を「まだ9番アイアンで、打てる力がある」と、自画自賛のバーディフィニッシュ。エッジの手前から転がして、6メートルのスライスラインもがっちり決めた。「長年、忍耐を持ってイップスにも耐えてきたから。イップスのほうからサヨナラしてくれた」と、カラカラと笑った。

一時は5オーバーまで落ちた途中のリーダーボードで気にかかったのは、予選カットラインよりもむしろ「芹澤信雄」。
オーガスタでともに解説をつとめる同士は「芹澤には負けるわけにはいかないと、マスターズの中継チームで盛り上がっていた」と、当の芹澤はその中嶋の上がりの連続バーディに「脱帽しました!」。
「何? 芹澤が脱帽!? ・・・俺は脱毛だけど!」と、絶“口”調で笑わせた。ツアー通算48勝も、ここでの勝ち星がまだないのは残念だが一転、大まじめに「和合に来るたびに、ゴルフは忍耐が大事だと教えられてきた」と、今年還暦を控えた選手の2年ぶりの予選通過こそ、そのたまものである。

「明日から、僕も楽しみだし、見に来てくださった方にも楽しんでもらいたい。そういうゴルフがしたい」と今年2年ぶりに和合でそろい踏みのAONを代表して中嶋が、週末の和合を盛り上げる。

関連記事