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ANAオープン 2014

谷原秀人が手負いの首位獲り

せっかくの単独首位も、谷原にはせつない。可愛い後輩にも言われた。「タニさんは、三味線を弾いていますよ」とは藤本佳則。
「あんにゃろ、覚えてろ」と、すごんでみても、あまり迫力はない。
周囲にも、あれか嘘だったのかと言われても、仕方ないこのスコア。

しかしこの日は、本当に「とても18ホールを回りきれる状態ではなかったので」。
スタート前の練習場で、棄権も考えた。先月の「アールズエバーラスティングKBCオーガスタ」の2日目に痛めた首は、まだ治らずむしろ、ひどくなる一方だ。
「少し良くなったと思っても、朝起きたらがっちりと固まっている」。就寝時の姿勢に気を配ってみても、「今日は右の肩胛(けんこう)骨にまで痛みが来ていて」。トレーナーに鍼を打ってもらって緊急処置もあまりの痛みに、「トップで肩が入らない。4ホールくらい行って、もう今日は帰ろうと思った」という。

そんな不安とは裏腹に、4番ホールで8メートルのバーディトライが決まり、さらに6番では15メートルが入った。
「4割くらいの力で打っているから突き抜けなくて、かえっていいのか。振れないから曲がらなくていいのか」。
少しでも負担を減らそうと、シャフトの重さも軽くして、55グラム。
「普段は70とか80グラムなんですけども」。
アイアンの選択も、1.5番手あげて、専属キャディの串田雅実さんにも、「女子プロみたいっすよね」と、こともなげに言われても苦笑いで「そうだね」としか答えようがない。

目下、目標は「ケガを治すことが先決」と、V争いにはとても気合いが入らず、同伴競技者にも申し訳なくて仕方ない。

「孔明はあれだけ振ってるのにボギー、ボギーで」。首の状態を気にしてくれているのが分かるから余計に済まない気持ちになる。
「痛い、痛いといって、抑え気味に打ってる僕だけスコアがいいなんて・・・」。孔明はこの日5オーバーを打って、目下賞金1位の男がイーブンパーの54位タイまで落ちてなおさら心も痛む。

そしてもっとも気がかりなのは、決勝ラウンドもやれるかどうか。「明日もコースにいれるかどうか分からない」。そんな選手が2日目にして単独首位とは、ゴルフって本当に分からない。

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