前半は冴えないショットに停滞ムード。「ピン位置も難しくてパットも決まらない」。我慢のゴルフも６番で解き放たれた。３メートルを決めると、７番でも２メートルのチャンス。連続バーディに、勢い付いた。

11番では240ヤードから、クリークで10メートルに乗せた。この下りのフックラインを沈めてイーグルだ。
一気にＶ争いに加わった。
シード２年目の日本ツアーでの最終日は、自身３度目の最終組。

石川遼との直接対決は、望むところだ。
いや、もともと見た目どおりに穏やかな性格は、「遼くんを倒したいとか、そういう意味じゃないんです」。

いつも大勢のギャラリーを引き連れるスター選手は、同じ組で回るときよりも、むしろその前の組で回るときのほうが、金にとっては厄介という。

「特にショートホールなんかはギャラリーの方が遠くでぞろぞろと動かれるのが気になってしまって…。実は今日もそうでしたので」と、この日は石川のひとつ前の組で上がってきて苦笑いだ。
しかし、同じ組なら「止まってください！」と大声を出してくれるスタッフも大勢いるし、むしろプレーがしやすい。「自分が集中出来ればきっと大丈夫」と金。
ファイナルＱＴの資格で参戦した初年度の２０１０年にいきなり賞金ランキングは11位につけた。
いま、世界でも勢いのある韓国勢の一角は、もっとも初優勝に近い選手とも言われる23歳。
初来日のころと比べて日本語も、格段に上手になった。
「集中してリズムよくプレーが出来れば、きっとうしろにあります」。
えぇっ、“後ろにあります”ってどういうこと……？！
よくよく聞けば、つまり結果はあとからついてくる、と言いたかったようだ。

• 石川 遼