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中嶋常幸と藤本佳則、ベテランと若手の意外な絆!!(ゴルフフェア2日目)
中嶋常幸と藤本佳則。
もっとも、奈良県出身の藤本は久しぶりの上京に、イベントの合間に取材やらなんやらで、1日中スケジュールはびっしり。一度は17時からサイン会の予定を組んだが、やっぱり難しそうだということで、本人直々にJGTOブース
に相談にやってきたのはちょうど中嶋のサイン会のまっただ中で、「今からなら大丈夫なんですが・・・」と遠慮がちに切り出した藤本。
きゅうきょ中嶋と席を並べて、ファンのみなさんには2倍に嬉しいイベントとなった。
実は、そのあとに予定されていた契約メーカー「ダンロップスポーツ」でのトークショーも、2人一緒。
この2人には実は逸話があって昨年、たまたま一緒に練習ラウンドをする機会があった。
「凄く上手い子で、そのうち必ず優勝するよ、と言ったんだ。でもまさか、こんなにすぐとは夢にも思わず」とは中嶋。
それは早速その翌週の「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」だった。藤本がデビューから5戦目にしてツアー初優勝を挙げた大会だ。
「びっくりしたね」と中嶋。「しかもメジャーでしょう? 凄いよね」と、うんと年下を褒めちぎりつつ「僕なんか、マスターズに出場したのは初優勝の3年後だからね」と、そこはツアー通算48勝のプライドもちらり。
あのとき、藤本の初優勝をしっかと見届けた中嶋は、すぐにメールをしたという。
「おまえは勝っても、その笑顔と謙虚さを忘れるな」。
ゴルフの腕前はもちろん、中嶋が藤本に好印象を持ったのもその部分。
「一見すると、そこら辺でバイクに乗ってるあんちゃんみたい。だけど一緒にゴルフをしてみると、笑顔が凄く良くて人なつこい性格。どんなときも、それを失わないでいて欲しくて」とは、中嶋の親心だった。
藤本の良さは、いつも周囲への感謝を忘れないところでもある。サイン会でも、トークショーでも集まった大勢のみなさんにも感激しきりで、「僕なんかにこんなにたくさん集まっていただいて」と、あのビリケンさんのような満面の笑みで喜んだ。
「これからもツアーを盛り上げていけるように、今年もまた優勝したい。中嶋さんとも試合で一緒に回ってみたい」と、藤本。
中嶋は「僕も藤本のような若手にもわっと言わせるゴルフがしたい」と、58歳はまだまだ堂々と受けて立つ。
それともうひとつ、とっておきの夢をファンの前で明かした。
「最後にもう一回でいいからマスターズに出てみたい。そして、残念ながら予選落ちをしたら、土日はテレビの放送ブースに戻るんだ。ほんと馬鹿みたいなんだけど、それが今の僕の夢!」。
今年も解説者としてオーガスタに赴くベテランがそんなことを考えながら、マスターたちの熱戦を中継しているかと思うと、テレビ観戦がなおさら楽しくなる。