記事

2年ぶり5度目のタイトル奪還を狙う、JGTO!!

この顔ぶれが一堂に介すだけでも一見の価値がある。今年8回目を迎えるシニアと女子と男子の対抗戦「Hitachi 3Tours Championship 2012(日立3ツアーズ選手権権)は、今季の最強ツアー決定戦!!
シニアツアーのPGAと、女子のLPGAと、男子のJGTOの各3ツアーから、今年もっとも活躍した6選手がぶつかり合い、力と技を競い合う。

いよいよ本番(9日・日曜日)を翌日に控えて男子のJGTOは、2年ぶり5度目のタイトル奪還がかかっているのだが、大会前日の8日・土曜日は大会に先駆けて、3ツアーの出場18選手が会場の千葉県・平川カントリークラブに集まった記者会見では、さっそくシニアの面々に“舌戦”を仕掛けられて・・・。

やっぱり、一番警戒すべきはこの御仁。3ツアーズ全体を見回しても最年長の中嶋常幸。3年ぶりにこの舞台に帰ってきた58歳は、こう言ってはばかからない。「俺たちに大事なのは“15本目”のクラブ」。つまり、まずは口で相手の戦意をそぐ作戦。

「だって俺たちもう、賞味期限切れのメンバーばかり。1年分の力を使い果たして疲れちゃって」とは、なんとも切ない。もはや“口撃”に頼るしか、3年ぶり2度目のタイトルを勝ち獲るすべがないとは「情けないよねえ」と、ほかの5人とため息をつく始末だ。

今年初出場の井戸木鴻樹が「ミスしても、みなさん笑って許してくださいね」と、メンバーに呼びかけても「それじゃ俺たち笑いっぱなしになるじゃない?」と、ちゃちゃを入れたのはこれまた中嶋。

「俺たちは勝とうとは思っていない」と言う中嶋に、「うんうん」とうなずき合ったシニアの面々。「今年も僕らは女子を応援するよ!」とは、最多は7回出場の室田淳だ。
「確かに、前回も応援していただいて、私たち女子ツアーは勝つことが出来ました」と感謝しきりは来季の米ツアー参戦を表明している有村智恵選手だ。
「とっても優しくしていただいて。今年もJGTOのみなさんの面倒は、PGAのみなさんにお願いをして、私たちは端っこのほうで優勝を狙います」と、女子ツアーの連覇はまさか、シニア頼みか!?

いやいや、実はLPGAもJGTOも、シニアのPGAチームの魂胆は分かっているのだ。
「僕らはずーっと女子の味方」とデレデレする室田に、有村選手はぴしゃりと、「でもあんなことを言っていて、シニアのみなさんはいつも素晴らしいプレーをされるので。それが作戦。油断しないようにしないと!」と、シニアと女子の蜜月に、とうとうヒビが・・・?!

我らがJGTOも、この“舌戦”にすかさず加わった。44歳は、チーム最年長のキャプテン谷口徹が「僕らも一応は、シニアのみなさんの“口撃”につきあってあげます」と譲歩しながら、「でも僕らはけっこうマイペース。惑わされませんよ」と、ぴしゃりと言った。

そこまで言われれば、仏のシニアも黙っちゃいない。今年のシニアツアーの開幕戦が、実はここ平川カントリークラブだったことを忘れちゃいけない。この“初戦”を制して、ついに“賞金王”に輝いたキャプテンの尾崎直道。「俺たちには、コースを知っているという利点がある」と、3年ぶり2度目の栄冠にも虎視眈々であることを、ついに明かした。

その言葉に、女子も男子もいよいよ本気になった。
女子キャプテンの佐伯三貴選手は言い切った。「2年連続、狙っていきます!」。
男子は、最年少の藤本佳則がなんとシニアの“お株”を奪った。本戦のシングルス戦は最終マッチで先輩と当たることになった。有村選手は、東北高時代の2つ先輩。「有村先輩は、昔から優しかったので。明日も優しくしてくださると思います」と、おだて作戦に出たのだ!

有村選手は「昔の私を優しかったと言ってくれるなんて、びっくりです」と恥じらいながらもしかし、もはやその手にはかからない。「口では優しくしても、ゴルフでは厳しくやっていきますから」と、有村選手も闘志満々。
シニアにも、女子にも牙を剥かれたら、男子はまずはがっちりと結束を固めてかかるしかない。
谷口の弟子の武藤は、「明日は谷口さんにアホやな、と言われないように。僕が師匠を面倒見るくらいの活躍をしたい」と、5人でキャプテンを支えて2年ぶり5度目の栄冠を取り返す。

そして何より大会の一番の趣旨だ。
大会の収益は、すべて難病を抱える子どもたち、家庭環境に恵まれない子どもたち、そして東日本大震災で親を失った子どもたちの元に届けられる。

また選手が受け取る獲得賞金の一部が寄付される。「一部といわず、全部あげたいくらい」という谷口は毎回、今大会で得た賞金の全額を地元・奈良県の児童養護施設に寄付してきた。
「この大会は、ある意味僕らにとっての“最終戦”。昨年以上に素晴らしい大会にして、子供たちの役に立ちたい」と大会を前に、その思いでまずは気持ちをひとつにした男子の面々だった。

関連記事