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日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills 2013
賞金王が4位タイ浮上【インタビュー動画】
この日は15番で、残り105ヤードの3打目は、手前1.2メートルのベタピンショット。これぞ藤田の真骨頂とも言うべきシーンも、さらりと「ダフっているね」と倉本昌弘。
図星だった。振り返れば初日の3アンダーも、やっぱり「奇跡だね」との指摘を受けた。自覚症状と同様に「こんなにひどい藤田はここ何年も見たことがない」と、倉本にも言われて、言い返せるはずもない。手厳しい言葉も、素直に「倉本さんは、言っていい立場におられる方ですし、自分でもそう思っているので・・・」。
この日はバランスボールを使った朝のストレッチのついでに、不安定なボールの上に座って素振りのポーズをしてみることで、「65点」くらいまでには回復したが、「昨日の出来は20点」と、相当に低かった。どうにかパットでここまでスコアを構築したのもまた、藤田らしいといえばらしいが、1番ではいきなりティショットを右の林に打ち込み、7番では完全に右OBだと思ったボールが実は、OBゾーンの木に当たり、さらにカート道で跳ねてラフまで出てきたらしい。
そんな運も手伝って、なんとか優勝争いに加わったが、本人の手応えはもちろんゼロ。まずショットの好不調が何よりスコアの善し悪しを決めるという頭があるだけに、「今は逆球も出ていますし、明日もしっかりとゲームを作っていけるような気がしない」と、前向きな言葉も出てこない。
藤田が予選落ちを喫した全米オープンで10位タイにつけた松山英樹。かねてより、世界に出ていく若手が少ないと嘆いていたベテランだけに、怪物の登場には藤田も目を細めて、「彼自身もあれで、相当の自信をつけたと思うし、国内でどうこうよりも、世界に出ていきたいと本人も思っているはず。ここで優勝争いするのは当たり前くらいの気持ちでやってほしい」。
21歳の背中を猛烈に押しつつ、「僕は電車にたとえれば、各駅停車のこだま。のぞみの新型車両が出てきて、これはついていかないと、という気持ちになっている」と、若い力の台頭も励みに変える。