記事
HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2016
谷原秀人が首位を死守
目下賞金2位が、首位を死守した。
稲森は「谷原さんのパットは神がかっていた」と言った。
「明日僕も入りますように、と。お賽銭を入れないと」との稲森の冗談は大げさ過ぎるかもしれないが、それくらいにこの日、谷原のグリーンには目を見張るものがあった。
10番で稲森が単独首位に躍り出た次の11番。20メートル近くのバーディトライをねじ込み笑って言った。
「入っていなかったら、グリーンを飛び出てるよ」と、要所で稲森をけん制した。
再び、1打差をつけられ迎えた終盤の17番では、2メートル弱のバーディチャンスを待つ稲森の前で、これまた15メートル超を沈めて食いついた。
前日2日目は、誰より遅くまで練習場に居残っても、ショットにはいっこうに復調の気配が見えないまま、むしろ「逆に悪くなっちゃった」と苦笑いで、3日目の最終組に挑んだ。
「危ないとか、危なくないとかいうレベルの問題じゃない。原因がわからないから。1ホール1ホール、1打1打。どうやってまっすぐに飛ばそうかということしか考えられない」。
それほどの不調の中でも、なんとか首位を守れたのは「粘りしかない。それがなければ、5オーバーくらいは行っていた」。
目下賞金2位のベテランが、いま持てる力を駆使して最終日に希望をつないだ。
再び、最終日最終組であいまみえる稲森も、この日はスコアこそ崩した池田も、キャリアは自分のほうが上でも今の谷原には2人ともがうわてに見えて仕方ない。
「稲森は飛ばないけれど、まっすぐにしか行かないし、フェアウェイウッドもピンを刺す。全体的に上手で、だからシードもとれている」と、べた褒めで何より「緊張している雰囲気もないので、なかなか頼もしい」と、若いが手ごわい。
目下、谷原が賞金750万円差で追う池田も「ショットは3人の中で一番いい。球も飛んでいるし、パットが入れば伸ばしそうな雰囲気がある」と、4打差つけてもけっして油断できる相手ではない。「そこにもって、自分は明日も崩れる要素がてんこ盛り。なかなか苦しい戦いになる」と、覚悟した。
「敵は自分のショットの悪さ。明日もまた、今日のような我慢ができたらいい」。
昨年覇者は、最終日ももがきにもがく。