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中日クラウンズ 2003
『僕らが頑張らないとゴルフ界がつぶれちゃう、そういう気持ちで戦っています』星野英正が4位タイ浮上
パットに悩んでいた星野に宮里が言った。 「パッティングのとき、グリップの力を抜いて、片手1本でストロークするといいで すよ」 デビュー戦だった今年1月の米ツアー『ソニーオープン』で、他の選手たちが話して いるのを、宮里が 持ち帰ったのだ。
星野もそれにならってストロークしてみると効果てきめんだった。 「球の転がりも距離感もいいし、リズムも一定で振れる。ラインも出しやすくて、今 日は狙った方向に すべて出ていましたね」
4番で8メートルを決めると、波に乗った。4メートル内のチャンスはほとんど外さ ず、ノーボギーの64 をマーク。今季国内デビュー2戦目の宮里が、イーブンパー43位で予選通過と低迷す るのに対し、堂々 と、先輩の威厳を示したかっこうだ。
4年前は、今の宮里のようだった。自身もデビュー当時は鳴り物入り、と大いに騒が れた。 そんな周囲の期待に押しつぶされそうになった時期も乗り越え、逞しさを増した。 初シード入りを果たした今年は、さまざまな取り組みでレベルアップを図る。 今年に入って積極的に肉体改造に励み、スィング面でもコーチの江連忠に見てもらう など、貪欲だ。
「いずれ大きくなりたいと思うなら、これくらいのことは当然、していかないと」。
学生時代、同学年でしのぎを削ってきた近藤智弘も、上位で頑張っている。 その近藤には“ライバル心”というよりも、「僕や近藤の世代がやらないと、このゴ ルフ界がつぶれち ゃう。そういう気持ちで戦っています」。アマチュア時代のタイトル52個の大器が、 いよいよ目覚めつつある。