故郷での恒例行事は今年9回目にして「史上最高」と断言してもいい好天に恵まれて、ホストプロのテンションも上がる。
2月25日に仙台で行われた「カメイ・星野英正ジュニアゴルフ教室」も、土地柄とはいえ3年前には実に、78年ぶりの大雪に見舞われて、近くの練習場に場所を移すしかなく、子どもたちにはゴルフの醍醐味も半減したと思うが、今年は芝の上から存分に打たせてあげられる。
みんな生き生きと、中には目を見張るほどの好ショットを放つ子もいて、「将来、頼もしい」と、子どもたちの成長の速さを実感すればするほど、ふと我に返ってつい苦笑いがこぼれてしまう。
「俺も、今年はもう40歳だよ・・・」。
アマ52冠のタイトルをひっさげて、鳴り物入りのプロデビューももう、16年前の話。
このオフも、きついトレーニングで相当追い込んでいるのはいいが、「最近は筋肉痛も、常に2日後」。鍛えれば鍛えるほど、どこかしらにほころびも出て、先日は肩甲骨横にしびれを感じて病院に駆け込んだら1日にも精密検査を受けることになった。
2008年には日本ゴルフツアー選手権で5打差の圧勝V3もそのあと勝ち星はおろか、この2年はトップ10にも恵まれずに「この世界で生き残るのも、年々しんどくなってきた」と昨年の賞金ランキングは、第2シード枠の77位に甘んじて、「あんなぎりぎりなのは、もうやりたくない」と5歳の長男と、まだ1歳半の長女を抱えるお父さんとしても、発奮材料に事欠かない。
このジュニア教室を主催する仙台の老舗企業「カメイ株式会社」と、サポート契約を結んで10年目の節目を迎えて「そろそろ本当に、結果で応えなければいけない」と気が引き締まる。
そして、こうして仙台に帰るたびに、胸が締め付けられる思いがする。未曾有の災害から、6年目の生まれ故郷はあの悲劇から懸命に立ち上がり、たくましく完全復興をとげた人々がいる一方で、いまだに住む家もなく、底なしの悲しみから抜け出せず、声さえ上げられずにいる人々が、同じ数だけいるように星野には思える。
復興格差は年々、広がるばかりという現実もあるのだ。
昨年の熊本地震はもちろん、「まだまだ東北も、忘れちゃいけないんだと思う」。その中で、自分に出来ることは何か。不惑を目前に控えて「地元の若い力を支えていきたい」と星野はますます思うようになった。
このジュニア教室を開いてから2年目の年にはまだ小学生だった子が今やプロを目指して、毎年レッスン会場としてお借りしている利府ゴルフ俱楽部の研修生として頑張っていると報告に来てくれて、本当に嬉しかった。
「しっかりと自分の道を歩いているのを見てこれからも、若い力を育てていこうと心から思った」という星野。
地元仙台を代表するプロとして、これからも夢と希望を発信していかなければいけないと、痛感した冬の1日。
「今年はとにかく、優勝争いの回数を増やしていかなければいけない、と。それでなければチャンスも来ない」。いくつになっても、地元ジュニアの星であり続けたい。