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PGA・JGTOチャレンジカップ in 房総 2014
チャレンジトーナメント初優勝を挙げた津曲泰弦!
最終日のスタートホール(1番ホール)、3番ウッドで打ったティーショットは、緊張からか本人も驚愕の左の林へ飛んで行ってしまう。「朝からいきなり逆球がでました」と振り返ったが、予選ラウンド2日間でスタートホールをボギーとしていた津曲は、3度目のボギーを覚悟していた。
スタートホールで首位との差を広げる訳にはいかない津曲は、3打目を見事ピン横2mにつけ、3日目にして初めてスタートホールでパーセーブを奪い、緊張が一気にほぐれた。
前半はとにかく追いつくためにバーディーを果敢に狙って行き、4バーディーを奪っていた。気が付くと追う立場から追われる立場になっていたのだ。
簗瀬との一騎打ちになった後半、守ることはせず、攻めるところは攻めていく津曲のゴルフ。12番ホールを終え、簗瀬との差は3打に開いていたが、13番ホールで痛恨のボギーを叩いてしまう。簗瀬はバーディーを奪取し、1ホールで1打差に詰め寄られてしまった。
16番ホールからは互いにパーを重ね膠着状態となっていた。「もう最後の方は優勝のプレッシャーからなのか、手が動かなくなりました」と言うように、16番ホールからは、パッティングでカップをオーバーさせることができなくなっていた。「下りのラインでさえ強く打っているつもりなのに届かなかった」と、津曲にのしかかっていたプレッシャーの大きさを伺える。
1打差を保ったまま最終18番ロングホールを迎えた両者。
先にティーショットを打った簗瀬のボールは真っ直ぐフェアウェイを捉えた。
「最後はドライバーを握るかどうか迷ったけど、3番ウッド2回で届くと判断し、選択しました」と話した津曲。
力強い球筋で放たれたボールは、惜しくも左ラフに入ってしまう。2オンが難しい状況に思われたボールは幸運にも少しラフの上に浮いていた。それを確認した津曲はすかさず再び3番ウッドを手に取った。「運が良ければラフからフライヤーがかかってグリーンに届くかもしれないですから」と迷いなく2打目を振り抜いた。果敢に攻めたセカンドショットは残念ながらグリーンに届かなかった。
一方バーディーが絶対条件の簗瀬もフェアウェイから2オンを狙い、3番ウッドでグリーンに向かって打って行くも津曲同様、僅かに届かなかった。
40ヤードのアプローチ対決となった互いの3打目。
先に津曲が寄せに行くも、カップまで3.5mと大きくショートしてしまった。続く簗瀬のアプローチはカップ右2.5mのバーディーチャンスにつけた。
運命のバーディーパットは、再び津曲から打つことになった。
先に沈めて優勝を決定付けたい津曲のバーディーパットは無情にもカップ手前で右に逸れていく。
一転チャンスが巡ってきた簗瀬。沈めてプレーオフに持ち込むべく、強気にバーディーパットを打つも、惜しくもカップに蹴られてしまいバーディーならず。
最後は短いウィニングパーパットを沈めると、力強く右拳を握りしめた津曲。
何度も優勝のチャンスを逃してきた男がチャレンジトーナメントという大きな舞台で初めて優勝を掴み取った瞬間だった。
津曲は、2011年レギュラーツアーの『TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood』、2014年チャレンジトーナメントの『ISPS・CHARITYチャレンジトーナメント』と、幾度となく優勝争いを演じてきていたが、あと1歩届かず痛恨の思いをしていた。
「勝てない」と真剣に悩んだこともあったと話す津曲。優勝争いをしていると周りからの声援がプレッシャーとして大きくのしかかっていると感じたことさえあった。
「勝つことにこだわらないようにした」と、気持ちの面でも平常心を保てるよう努めた結果、見事な初優勝に繋がったのかもしれない
「いやぁ、最後は泣くかなと思ったけど、泣かなかったですね。涙はレギュラーツアーで優勝した時にとっておきます」と笑顔で話した。
この優勝で津曲は優勝賞金234万円を加算し、チャレンジトーナメント賞金ランキング2位へと躍り出た。
「またレギュラーツアーのシードを獲得したい。将来的にはレギュラーツアーでも勝てるような選手になりたいです」と最後に今後の目標を語ってくれた。