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天国の息子への誕生日プレゼント・・・高橋勝成が、スナッグゴルフ大会を開催

ボランティアで駆けつけてくださった三木市在住の柴田英雄さん(=左)と始球式
これは、「追悼大会ではない」と高橋は言った。昨年8月9日。白血病でこの世を去った次男・勝紀君(享年8歳)が病床でいつも望んでいたことは、「ただ、みんなと一緒に楽しみを分かち合いたいということだった」(高橋)。
仮退院が許されて、家族水入らずで過ごした半年間。しかし、全力で走ったりといった激しい運動ができなかった勝紀君が選んだスポーツは、自分のリズムでプレーでき、しかも大勢の友人と楽しめるスナッグゴルフだった。

再入院が決まったときも、ベッドの上でときおりつぶやいていたものだ。
「みんなと、スナッグがしたいなあ…」。
その願いはもはや、かなえてやることはできないが、遺志を継ぐことはできる。

「生前、勝紀が味わった喜び…たとえば、年齢や世代の垣根を超えて純粋にゴルフを楽しむ喜びを、他の大勢の人たちにも味わってもらいたい…。それがひいては、ゴルフ発展につながれば」。

息子の名前を冠した『第1回勝紀杯』の開催日を、彼の誕生日だった1月9日に選んだのは「参加してくださったみなさんに楽しんでもらうことが、あいつの誕生日祝いになれば、と。なんか父親のわがままみたいな理由で、ほんとうに申し訳ないんですけど…(笑)」。

思い出して、ジメジメするのではない。気温こそこの冬一番の寒さを記録したものの、晴天に恵まれた大会当日。
高橋には大勢の参加者にまぎれて勝紀君が、笑い声をあげているように感じられた。「それが、嬉しかった」。

高橋の腰にまとわりついてくるジュニアたちに混じって勝紀君が、病院から試合会場にいる父親へいつも、電話やメールで伝えてくれた言葉を叫んでくれているような気がした。
「パパ!! 僕、すっごい元気だよ!」。
息子の明るい声が、いつまでも高橋の耳の奥にこだましていた。

※第1回勝紀杯スナッグゴルフ大会の表彰式で高橋は、スナッグのコーチングセットを地元・西宮市の教育委員会に寄贈しました。
  • 「とにかく、みなさんが喜んでくれることを企画したい」会場の一角で行われた餅つき大会も高橋のアイディア
  • 30人以上のボランティアのみなさんの助けを借りて、開催にこぎつけた大会当日「みなさんの無償の思いに、支えられています」(高橋)

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