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日本オープンゴルフ選手権競技 2003
第68回日本オープンゴルフ選手権競技 3日目中嶋常幸の言葉で開眼、今季低迷が続いていた今野康晴が2位と3打差の単独トップ
「インパクトで、左足を踏み込みすぎてないか?」。それは、これまでの今野の考え を、180度、変え るものだった。「僕のゴルフ人生、右足に体重を残してスウィングしたことなんて、 まったくなかったから・・・」。
それまでの今野は、「チーピンを怖がって」むしろ思い切り左足に体重を移動させて 打っていた。確かに、球が左に行くことはほとんどなかったが、その分、軸が左にぶ れてプッシュアウト気味の球が多く、ショットが安定しなかったのもまた事実だっ た。
思い当たるふしがあった今野は、今週、中嶋と同じホテルに宿泊させてもらい、火、 水曜日の練習ラウ ンドは中嶋にくっついてまわって、猛特訓。
はじめは中嶋の言うことになじめず「ほんとうにこれでいいのかなあ・・・」と半信半 疑、スウィング にも違和感があったが、それでも続けていくうちに、だんだん納得のいくショットが できるようになっ てきた。
「いまは試合中も、中嶋さんに言われたことだけ気をつけてまわっているんです よ」。この日3日 目は、パッティングも好調で、最終18番で3メートルのパーパットを外した以外はほ とんどノーミス。
誰もがここを通るとき、「とにかく無事パーで切り抜けたい」と願いながらプレーす るインコースの最初の3ホールでは11番で右10メートルのバーディチャンスを沈め、 12番パー3でグリーン手前20メートルの第2打をピンに当ててチップイン。日光の“鬼 門”で2バーディを奪い、さらに続く13番では奥5メートルを決めて3連続。一気に上 位に踊り出た。
昨年のこの大会では最終日、首位と2打差の4位でスタートしながら、11番で木に当 たったティショット が落ちてこず、その処置を誤ったとして2罰打を食らい、優勝争いから転落してい る。が、「あのときのこと?もう全然、なんとも思ってない」いやな過去は完全に 吹っ切って、改めて今年、2位と3打差の単独トップで昨年逃した日本一の座を取りに 行くつもりだ。