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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2004
今季最後の頂上決戦を制したのは、オーストラリアのポール・シーハン
これで、外国人選手の優勝は、11月のアサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアルから、5試合連続。年間を通して数えると、ツアー史上過去最多の15勝(1980年以降のデータ)。
今大会が始まる前から日本人プレーヤーたちは、「打倒・外国人選手」を声高らかに宣言していた。
首位と1打差の最終組で迎えた最終日は、「ギャラリーのみなさんの僕への拍手も、同じ組の深堀さんや加瀬さんより、確かに少なかったような気がしたけど…(笑)」。
故郷、オーストラリアからはるばる日本にやってきて丸3年。“アウェイ”での戦いは、心得ている。
「僕が日本人選手よりも人気がないのは、これはもう、仕方のないことだし、日本のファンのみなさんが、日本人選手を応援するのは当然のこと。そんなのちっとも気にならないよ。
それに、一緒に戦う選手やスタッフのみなさんは、いつも僕に敬意を払って接してくれるし、数は少なくとも、僕を応援してくれるギャラリーだっていてくれる。その人たちに支えられて、僕も頑張れるんだ」
常に、前向きさを忘れない。どんな小さなことにも希望を見出せる姿勢こそ、異国の地で活躍できる秘訣なのだろう。
どの会場でも、ファンやスタッフにいつも笑顔で接する姿が印象的だ。
技術だけでなく、精神力の強さ、人柄の良さ、礼儀正しさも含めてシーハンこそ、今シーズンのクライマックスを飾るこの最終戦のチャンピオンにふさわしい選手だ。
先週は、母国ツアーの公式戦『豪州オープン』に参戦。最終日は、首位と5打差の優勝圏内にいながら、ショットの不振で22位タイに終わった。
だからトンボ帰りして出場したこの大会も水曜日までは、「まさか、僕が優勝できるわけない」と思ってのぞんだ。
そんなシーハンに「思いがけないクリスマスプレゼント」を運んでくれたのは、キャディのクリスチャン・デービッドソンさんだった。
本番前の練習場で、教えてくれた。
「腕に力が入りすぎているよ。いつものポールみたいに、もっとやわらかく握って、ゆったりと振ったほうがいい」。
このアドバイスに加え、ここ東京よみうりのコースコンディションが、前週の豪州オープンの会場と似ていたことも幸いした。
「硬くて速いグリーンに、強風が吹き荒れて…。今週も、先週と同じ感覚でプレーできたのが、良かったのだと思います」。
16番で5メートルのチャンスを沈めて混戦から抜け出すと、17番で連続バーディ。4打差つけて迎えた18番で、満員の観衆に向かってウィニングボールを投げ入れた。
子煩悩、おしどり夫婦で知られるシーハン。家族を故郷に残した孤独な戦いは、ひとまず終焉を迎えた。
最後の最後に手にした優勝賞金の3000万円は、これまで自身が受け取った中で最高金額。
「今年、初優勝をあげたフジサンケイクラシックの賞金も大金だと思ったけど…。今回はさらに多くてどうしよう?!」
家族へ何よりの贈り物を抱え、「来年、また日本に戻ってきます!」。日本のファンに再会を約束して、いま夏真っ盛りの故郷へと帰っていった。