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中日クラウンズ 2017
恒例行事にレジェンド復活!
「やっぱり、1年に一度はここに来なければ」と今年もやはり、本戦は諦めざるをえなかった中嶋常幸が、25日の火曜日に足を運んだのは愛知県東郷町の小規模授産施設「たんぽぽ作業所」。
1999年に、和合の1番パー4でアルバトロスを達成した38回大会からのご縁である。ティショットを直接カップに入れる快挙達成で、受け取った賞金の一部を同施設に寄贈したのをきっかけに、翌年から大会前には必ずここに立ち寄ることに決めてきた。
1回目の訪問時の写真が施設の廊下に貼ってある。待ちに待ったみなさんとの再会の前に他の参加選手と一緒に眺めて思わず唸った。
「若かったね〜、イイ男だね!」。
昨年は18年目にして初めて、訪問を断念してからずっと懸念していたことが、いっそう現実味を帯びた。「さすがに俺ももう歳を取って、この先若い子たちがこの施設訪問を、引き継いでくれるだろうか?」。
せっかくつないできた地元の方々とのご縁を引き継いでくれるか。
そんな中嶋の思いを受け止め、地元出身の桑原克典や、こちらも今年は2年目の訪問となった星野英正が、今年は大会2度の優勝のI・J・ジャンと、昨年覇者の金庚泰(キムキョンテ)を連れてきた。
「僕も去年は来られなくてとても残念だった」と星野。「でもやっぱりクラウンズに出るときは、ここにこないと試合が始まらない。みんなにパワーをもらいに来ました!」。
桑原は、施設のみなさんとの1年1回の再会はもちろん、なんといってもお楽しみは、中嶋の大親友で、寿司職人の山内和義さんが用意してくださった新鮮なネタで施設のみなさんに寿司を振る舞うこと。
「1年に1回だけ握れるの。それが楽しみで」と、いそいそと、ジャンはジャンで、なぜか昨年から山内さんにライバル心めらめら。
「僕も負けない! 握ります」と大ハッスルも山内さんには「ありゃあ、ジャンさんのは握りじゃなくて、おにぎりだ」と、言われて悔しいやらせつないやら。
そのかたわらで、黙々と握る庚泰(キョンテ)。正確緻密なゴルフと同様に、シャリの量とネタの配分も完璧に「さすが筋がいいね!」。今年“初登場”の庚泰(キョンテ)には施設の方々も興味津々で、それだけに庚泰(キョンテ)がまさかのプレッシャー?!
パターマット対決でなんと、5度の挑戦もすべて失敗して、こちらは恥ずかしいやら照れくさいやら…。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。終わりの挨拶で、選手たちとの再会を喜び、感謝の手紙を読んでくれた施設の方が、感激のあまりに流した涙に、選手たちはみな心打たれた。
お決まりの大合唱は「世界に一つだけの花」。毎年、頂く可愛い刺繍入りの手縫いのぞうきんは、使うのがもったいなくて、中嶋はすべて自宅に飾ってあるという。
「クラウンズがある限り、若い選手たちがきっと、たんぽぽの皆さんとのご縁をつないでくれる」。中嶋にはそう確信できた18回目(19年目)の訪問になった。