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第1回ダイナスティカップ ハイライト特集

残念ながら勝負には敗れたが、善戦した日本代表メンバーたち
■チーム唯一の3戦3勝/メンバーに「チーム・リーダー」と絶賛を受けた中嶋常幸

チーム唯一の3戦3勝は、中嶋だ。
ゲームの駆け引きが難しいとされる初日のフォアサム競技では、プレッシャーでがちがちの最年少メンバー・近藤を、「大丈夫!」を合言葉にグイグイ引っ張り、勝利を呼び込んだ。
最終日のシングル戦は、「2人で戦うよりも少し弱気になって。“ほんとに大丈夫?”なんて内心、自問自答したシーンもあったよ」と苦笑するが、それでも欧州ツアーチャンピオン、アージャン・アトワルを相手に4アンド2は、圧勝だ。
納得顔で、「ベテランの味が、上手く出せた3日間だったかな…」。

最年長メンバーとして、メンバーのまとめ役にも尽力した。
最終日の前夜。
アジアに4ポイントリードされ弱気になるメンバーたちには、常に強気な言葉で鼓舞しつづけた。
そんな中嶋に、「やっぱり、あの人は凄い人」と舌を巻いたのは鈴木亨だ。
「どんなに不利な場面でも、口から出てくるのは、前向きな言葉ばかり。ほんとに“恐いものなし”なんですよ。…数年前まで、あれだけ苦しみつづけて来た人が、あの年齢であそこまで復活してくること自体普通では考えられないのに、今週はその凄さを見せ付けられました気がしました」(鈴木亨)

「今回の“チーム・リーダー”は、間違いなく中嶋さん」と話したのは桑原克典。
「中嶋さんの存在に、みんなどれだけ励まされたことか…。当たり前のことを、当たり前のようになしとげる難しさ。それをこともなげに実戦できてしまうのが凄い。並みの精神力じゃとてもできないです」(桑原克典)。

自身が善戦したからこそ、日本チームの敗退はなおのこと悔いはずだった。
だが、歯がゆさをグっと堪えて中嶋は言った。
「日本チームだって愛国心を持って戦ったけれど、相手チームにはそれ以上に、普段から国境を越えて腕を磨きつづけてきた強さがあったんだ。今回は自分たちの力を出し切れなかった悔しさは残ったが、でもね、みんなには、成績以上に感じるものがあったはずだよ」

試合終了後、中嶋には、「次期キャプテン」の呼び声が高かった。しかし本人はそれを一蹴したという。
「俺は、あと2回は“選手”として出場するつもりだから」
恐るべき48歳である

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