開幕前日の26日水曜日に行われたプロアマ戦で選んだウェアは足にピタッとはりつくスリムなパンツ。
膝の部分には、大きくロゴマークがあしらわれた斬新なデザインだ。
「初めて着用姿のプレーを目の前でお見せすることができる」と、喜んだのは、選手会長のげんちゃんこと時松隆光(ときまつ・りゅうこう)。
一昨年のクラブ契約に続いて、昨年はウェアもキャディバッグも大会主催のミズノに一新したが、その初年度に、新型コロナウィルスの影響で、大会は中止に。
丸1年、ため込んだ感謝の思いを放出する時がやってきた。
「ホストプロとして、頑張らなければいけない」と、試合が始まる前から気合が入りまくった。
この日の同伴は、大会主催のミズノ株式会社の水野明人・社長。
「一緒にお食事をさせていただくことはあっても、ラウンドさせていただくのは初めて。試合中より、ピリっとしていたかもしれません」。
本大会の上位2人には全英オープンの出場資格がある。
早速、朝の挨拶で水野社長に「優勝して、権利を取ってください」と、言われて背筋が伸びた。
初挑戦は2018年のカーヌスティだった。
海雨にさらされて、カチコチになったフェアウェイを思い返して「手前100ヤードから転がしていけば、飛距離のない僕にもチャンスがあると感じた」。
4年ぶりに本大会の会場に戻った、ここ岡山県の瀬戸内海ゴルフ倶楽部は膝の高さ以上のラフが茂ってイギリスのリンクスコースを彷彿とさせる佇まいだ。
この日、随伴のレジェンドからは、予行演習を兼ねたアプローチと、スイングの指導を受けて大感謝。
ツアー16勝の大ベテランで、1976年の「全英オープン」では日本勢として初のトップ10入りを果たしている鈴木規夫プロから「中指の力が入りすぎている」と、指摘を受けて見違えた。
「人差し指を意識して振るようにと言われたんですが、その通りにしたら程よく力が抜けて、ショットが安定し始めた」。
専属キャディの吉岡雅子さんも「指1本ですよ。そんなの、ふつう気づきます?」と、感服。
本戦前の貴重なレッスンも、ホストVへの糧になる。
ミズノ主催の本大会は今年、記念の第50回を迎える。
ちょうど3週前には大会会長として、初の選手会主催大会を無事、終えたばかりの時松には溜め息しか出ない。
「一つの大会を1回終えるのにもあんなに大変なのに……。50回ですよ! 本当にありがたいしかない」と、おもてなしにも拍車がかかった。
自身のプレーもそこそこに、同組アマのバンカーならしを積極的に手伝ったりと奔走。
水野社長も「若いのに、いつもとても紳士的で感心しています」と、選手会長のホストプロを絶賛。「本戦での活躍も期待しています」と、改めてエールを贈る。
例年なら、本大会の上位4人に「全英オープン」の出場権が与えられたが、今年は延期となった昨年度の権利取得者の資格を持ち越すため、上位2人に変更された。
「出場枠が少なくなってしまったのはとても残念ですが、時松選手にも頑張っていただいて、全英の舞台で優勝される姿をぜひ拝見したいです」と、水野社長。とてつもなく大きな期待を寄せられた。