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ダンロップフェニックストーナメント 2019
Vジャケットは譲らない。今平周吾が「今度こそ勝ちたい」
昨年の賞金王が、最終日を前に2打差をつけて、今週もまた、定位置におさまった。
今平周吾が悲願の今季2勝目を賭けて、単独首位に立った。
雨は上がったが、3日目も相変わらず風が吹く難条件。
不動の安定感は、いつもながら状況判断が冴えていた。
第1打を左に曲げた8番パー4は木に阻まれ、2打目はグリーンをねらえない。
「あそこはちょっと、枝がかかっていたので左に出したら突き抜けるのも嫌だし、手前でも嫌。こちらのほうが安全」と淡々と、背中を向けた。
2打目をいったん隣の4番フェアウェイに置いた。
そこから100ヤードの第3打は60度のウェッジで、グリーンのエッジへ。6メートルのパーパットは逃したが、ピンチをナイスボギーでおさめた。
2アンダーで入った後半は3つのバーディで、ジワジワとリードしながら終盤は、自身の状態を分析しながらしたたかに安全策を取った。
3週前から右足体重寄りのスイングにシフト。その影響で「前よりアイアンで6、7ヤードは飛ぶようになった」とその分を番手や、ショットの加減で調整。
1差で迎えた最後のパー5は、イーグルも奪えるチャンスホールで刻みを選択。あえて残した80ヤードの3打目は「奥には行かせたくない」と、追い風も計算に入れて「75ヤードくらいの感じで打った」。
手前1メートルに、ピタリとつけた。バーディで締めた。
2打差2位には韓国の黄重坤(ハンジュンゴン)。
3週前の「マイナビABCチャンピオンシップ」で1差の惜敗を許した相手だ。
その週は月曜日に新たにサポート契約を結んだオメガ社のコンペに参加。パーティで偶然、同席したメンタルトレーナーに「最終日にジャケットを着るイメージをしてプレーしなさい」と、言われた。
「その週も想像しながらやって、いい感じだなと思っていたけど最後に負けた」と、悔恨。
コバルトブルーのVジャケットは、重坤(ジュンゴン)が袖を通した。
「悔しい負け方をしたので今度こそ、負けないように頑張りたい」。
10月のブリヂストンオープンで、やっと今季の初優勝を飾ったが、台風の影響で2ラウンドの短縮競技だった。「しっかりと4日間戦って、勝ったほうがカッコいい」と、72ホールでの勝利も恋しい。
今大会は、シブいチェックのウィナーズジャケット。
今度こそ賞金1位は着せ掛けられるその瞬間を、強くイメージしたまま最終ホールに突入する。