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和合デビューでAO対決?!「クラウンズの思い出リレー」第2話は星野陸也

7年大会。左から20歳、74歳、70歳(©JGTO)
2017年の第58回大会で、5年ぶりに青木功とジャンボ尾崎の同組ラウンドが実現した。
それぞれ和合で最多の5勝を誇る。クラウンズ男たちの豪華競演。
開幕前日に「俺たち2人で回るのもこれが最後になるかもしれない」と、当時74歳の青木がポロリとこぼした。

そんな、クラウンズ史にも残る貴重なレジェンド対決の中に、いきなり放り込まれたのがその年、初出場を果たしたばかりの星野陸也だった。

週の火曜に発表された組み合わせ表を見た瞬間の驚きは、3年経った今も忘れていない。
当時は、前年夏にプロ転向したばかりの20歳。
「QT上がりの、なんの実績もない自分がなんで?って。僕なんかが入っちゃっていいのかと、相当びっくりしたことを、覚えています」。

初めての和合、初めてのクラウンズ。
右も左も分からない上にAOとのプレー。
「大丈夫かな…?」。
戸惑いと不安。
「お2人の前で良いプレーを見せないと、という緊張もありました」。
主催者のみなさんの、自分への期待も感じた。
「頑張らないと」と、気負うあまりにほぼ眠れなかった開幕前夜も昨日みたいに思い返せる。

「ハワイアンオープンで、青木さんが直接カップに入れたのとか。ラウンド中も、気の利いたお話ができるようにと夜中に過去の動画を検索しまくりました」。
2人合わせてツアー通算145勝の偉業をおさらいして初日に臨んだ。

青木が、毎ホールでダジャレを連発していたのは、あまりに緊張した自分を気遣ってのことだった、と今なら分かる。
かたやジャンボはラウンド中はほぼ無言。
「スタートからかなり集中されてて」。
プレー後のスコア提出所でやっと声が聞けたと思ったが、「バーディ1個じゃ少ないな」と、その日の星野のプレーをとがめる言葉。
「明日はいくつ獲る?」と、問われて「5個獲ります!」と、直立不動で誓ったものの、翌2日目も17番までに、星野が記録したのはたったの2バーディ。

そのうえ、その時点で通算1オーバーは、予選カットに1打足りない大ピンチだった。
「バーディ少ないうえに、予選落ちなんかじゃお2人にも申し訳ない」。
決死の最終18番で、2メートルのバーディチャンスを迎えた。
「のぼって、くだって、どフックする。狙って外せば3パットもある」。シビアなラインを夢中で入れた。辛くも予選を通過した。

ジャンボがやっと笑ってくれた。
「青木さんも、すごく喜んでくださった」。
夢のような瞬間を、改めて噛みしめた。
「ジャンボさんは70歳でも本気で飛ばしてきましたし、青木さんは球筋とか、ほんとうにいろんな凄い技、熱い気持ち。ゴルフってこういうもんだよと、目の前で見せようとしてくださったんだ、と。誰もが羨ましいような経験。一生にあるかないかの組み合わせに僕を入れてくださった。主催者や、関係者のみなさんにもいま改めて、感謝したい気持ちです」。

デビュー前から若き飛ばし屋として、知る人ぞ知る存在だった。星野の名はこのAO対決を機に、一気に浸透。
その年、初出場の和合で24位タイにつけた。
翌18年は、12位タイ。
昨年は5位タイで、大会初のトップ5入りを果たした。
ツアーは通算2勝目を飾って、順調に階段をのぼる。

最終日の18番で、105ヤードの2打目をSWで直接カップに入れる離れ業をやったのは、18年大会だ。
劇的イーグル締めは全員総立ちで、迎え入れられた。
「あの時の大歓声は今も忘れません。名古屋の方々はいつも本当に熱くて。今度は優勝して浴びてみたい。きっと嬉しすぎて震えると思います。今年、和合でプレーできないのは本当に残念ですが、来年は狙ってみたい」。
今年、61回大会を迎えるはずだった「中日クラウンズ」。
脈々と、受け継がれてきた数々の感動ドラマ。
AOから学んだ和合攻略の手引きを踏襲し、次は自らが伝説を紡いでいきたい。

※CBCテレビ(東海地区)では、5月3日(日)午後4時から「クラウンズスペシャル〜取り戻そう!みんなの笑顔を」を放送します。放送が見られない方は、動画・情報配信サービス「Locipo(ロキポ)」で5月3日(日)午後5時から無料配信します。

昨年の第60回大会ハイライトをどうぞ↓↓
  • 2人合わせて通算145勝のグータッチ
  • いや〜緊張しました〜〜〜

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