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それぞれの新様式

いよいよ9日の開幕を翌日に控えて8日水曜日の練習日に、新・選手会長と、新・選手副会長の3人がそれぞれの”新様式”で一堂に会した。

時松隆光と池田勇太、小鯛竜也は電動歩行型のアシストカートを自ら操り、取手国際ゴルフ倶楽部の1番ティに集合。
石川遼は、セルフバッグ姿で現れた。
今年の男子ゴルフの顔ともいうべき4人が本戦での健闘を誓い合った。

待ちに待った男子ゴルフの開催だが、慣れ親しんだいつものようにはいかない。

賞金ランキングには加算されない2日間競技の「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」では感染防止の観点から、やむなくキャディさんの帯同を見送った。

その上で、プレー中にもソーシャルディスタンスを保つためにはどうするか。
選手会長の時松によると、当初は1組につきキャディさん1人がつく乗用カートでの運営も検討されたが、それでもクラブやボールの出し入れの際にはどうしても、3密が出来てしまう懸念があった。

話し合いを重ねる中で、選手会の目に留まったのが5月にアメリカで行われたマキロイやファウラー、Dジョンソンらによるセルフプレーのチャリティマッチだった。

「あれこそゴルフの原点。アマチュアの人って、プロはキャディがいないとゴルフができないという思いでいるから。せっかくなら、僕らもいつもと違った姿を見ていただくのはどうか、と」(池田)。

しかし、出場選手の年齢層は20代から50代までと幅広い。
96人の誰もが自らバッグを担ぐスタイルを強要するのはさすがに現実的ではない、ということから今回、導入されたのが、池田がもともと愛用していた1人1台の電動アシストカートだった。

これなら距離も十分保てるし、ゴルフのひとつの新様式も提案できる。主催者のみなさんの賛同も得て、今回の完全セルフプレーの実施にこぎつけた。

8日の練習日は、みなが久々にゴルフの感触を確かめる機会とともに、ほとんどの選手にとっては初体験となる電動カートの試運転日。
最初はおっかなびっくりだったが、みなホールを重ねるごとにその快適さに開眼。

小鯛は、「ボタンひとつと操作も簡単だし今日は、小学生の夏休み明けに、久しぶりにみんなと会う感じで本当に楽しかった。遼や(星野)陸也とも久しぶりに一緒に回れて、試合がない間のモチベーションだった飛距離アップの感触を確かめることもできた。明日から、試合をやらせていただけるありがたみを感じながら回りたい」と、選手副会長のひとりとして自覚と抱負を語った。

やはり、選手副会長の池田は、「ギャラリーの方がいてくれないのは寂しいけれど、インターネットで僕らの表情や、技術などを見ていただけると思うし、一つ試合をやっていただけることで今後のモデルケースにもなる。これをファーストステップに、次は一気に4、5ステップと踏んでいくためにも、大事な一戦になる」。

今回は、少数派のセルフバッグを選択した石川。
「いいトレーニングになりますし、自分はジュニア時代から親しんでいる担ぎのほうがルーティン的にも慣れている。カートでのプレーよりは疲れるとは思いますけど、その中でどういうパフォーマンスができるか」と、意気込む。

そして選手会長の時松は、カートを選んだにも関わらず「久しぶりに歩きでの18ホールに足がパンパン。担ぎなら、もっとパンパンになっていましたね」と、苦笑いだ。
初体験のカートの操作方法と合わせて「まだ素人なので、速度なども難しいけどこの2日で慣れて、疲れも減っていくのかな」。

初日は石川と宮里優作との組み合わせも決まった。
「久しぶりの試合で感覚が抜けている中で、豪華メンツに入れていただいて非常に心配ですが、今の全力を出せるように頑張る」と、気合を入れた。
選手を代表して臨んだ前日8日のリモート会見で、「この大会をきっかけに何か変わるんじゃないか。これを教科書に、ツアーが再開できればいいのにな、という気持が非常に強い」と、本戦への思いを語った。

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