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26歳の副田裕斗がネクストV
3アンダーの2位タイに高柳直人、勝俣陵、小池一平、小鯛竜也、塚田陽亮ら5人。
最終組でスタートし、1番から5連続バーディを奪うロケットダッシュを見せた近藤智弘は中盤のダブルボギーが響き、木下裕太と並んで2アンダーの7位タイに終わった。
12月3日ー6日の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の出場には至らなかった選手たちの「次の年(2021年)」での活躍を願って特別に開かれた本大会。
今年の賞金ランク60位の資格で臨んだ副田(そえだ)は、1日18ホールのストロークプレーで6バーディ1ボギーの「66」を記録。
5アンダーで迎えた17番パー5はティショットを右に曲げ、グリーンに乗っただけの長いバーディパットはカップを大きくショート。3パットのボギーを打ったが、続く最後の18番ではピンそば1メートルの見事なバウンスバックを見せた。
「最後のバーディが良かった」と、クラブハウスリーダーで上がり、いちはやく後続の先手を取った。
主戦場の「AbemaTVツアー」で幾度かのV争いから学んだのは「スコアボードを見すぎないこと」。
教訓を胸に、この日のプレー中は、あえて順位やスコアから目を伏せ1打に集中したが、単独首位で上がってからは、スマホでYouTubeの生ライブにくぎ付け。
残り7組のプレーをしっかりと見届け、勝利を確認した。
シード権にはまだ届いたことがなく、17年に記録した平均飛距離313.71ヤードも規定ラウンド外の参考記録にとどまったが、その年の2位に匹敵する数字だった。
「今日はティショットが良かったので、安心してドライバーが振れました」と、自慢の飛距離に加えてこの日は「こんなに曲がらなかったのは、初めてというくらい」という安定感も加えて、1日限りのVチャンスを引き寄せた。
霜で凍結した早朝の高速グリーンも制した。
やはり、氷のグリーンと評される難コースの「東京よみうりカントリークラブ」は、「知り合いのメンバーさんと、一度だけ回ったことがある。試合だと、もっと難しいのかな…」と思い返して、「選ばれた30人しか出られない試合。来年はぜひ『(ゴルフ日本シリーズ)JTカップ』に出たい」。
21年の活躍が期待される「ネクストプレーヤー」の筆頭として、さらなる研鑽を誓った。
祖父の手ほどきで、物心つく前からクラブを握り、小学時代から試合経験を積んだが、ゴルフ部がなかった中学ではバレーボール部に所属。今や180センチの長身に成長した。
高校は、出身の岐阜県を出て茨城県の名門・鹿島学園へ。
3年時の2012年には「国体少年男子個人」を制してプロ入り。
9年目のレギュラー昇格を期した今年は、このコロナ禍だ。
でも昨年3月に同い年の雪さんと結婚し、今年6月17日に生まれたばかりの結斗くんは、可愛い盛り。
「今年は試合がなかなか始まらなくて、調整は難しかったですけど、家にいるときは、毎日僕がお風呂に入れて、オムツも変えて」と、自粛期間をたっぷりと、育児に充てた。
「今日で生まれてちょうど半年。勝てたらカッコいいと、それは意識していた」と、自覚も深まる記念日パパV。
奥さまには、リュックのクリスマスプレゼントを約束して家を出てきた。
V賞金300万円なら、日頃の感謝を伝えるにもまだ余る。
※コロナ禍の特別試合として無観客で開催された今大会は、賞金総額1500万円をかけて、29選手が1日18ホールのストロークプレーで争いましたが、獲得賞金は加算されません。