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フジサンケイクラシック 2019
石川も嫉妬? 虎さんこと崔虎星(チェホソン)が62のコース新記録
この日もまたスタートから、独特の”虎ワールド”全開だった。
エビのようにピンと背をそらした軽妙な素振り。まるで釣竿を操るように、大胆にクラブを振り下ろすと、そのまま背中から、倒れんばかりの姿勢でトテテテテテテテ……。
球の行方を確認しながら、器用な横歩きで富士桜を縦横無尽だ。
1番から愉快な4連続バーディは、4つ目の4番でチップイン。
6番もまた、奥からラフのアプローチがみるみる寄って、パターを振り振り「入れ入れ」とクネクネ踊り、ボールはまるで魔法仕掛けで急に、ほんとにくにゃりと曲がって、最後のひと転がりがコロンとカップに転がり込んだ。
めくるめく軽妙な虎ダンスに、もうそのころには「お客さんの目は、あきらかにホソンさんに行っていた」と、証言した石川もまた、後半の12番でチップインイーグルを決めたり、この日は前のティを使った308ヤードのパー4で、手前5メートルにみごとにワンオンしたり、十分に見せ場はあったと思うが「今日はホソンさんの日だな、という視線を感じた。…悔しいな」と、虎さんに嫉妬。
石川もうらやむ虎さんの快進撃は、最後までやまなかった。
またまたチップインバーディを記録した13番は、そこから3連続。
ついに18番の連続バーディ締めもまた、この日なんと4度目のチップイン!!
左手前のバンカーから打った約45ヤードの3打目が、またカップに飛び込んだ。
石川とのハイタッチを、大歓声が包んだ。
お天気に恵まれたこの日は4日ぶりに、富士山がその姿を現した。
世界遺産のふもとで神がかりな「62」を出して、富士桜のコースレコードを更新した虎さん。
「今日のプレーは本当にパーフェクトです」。
米のジャスティントーマスが、その愉快な存在に注目して「僕もマネしてみようかな」と、SNSでつぶやいたことから一気に人気に火がついた。波に乗り、昨11月のカシオワールドオープンでツアー2勝目。国内での人気も高まった。
その余波で、今年は2月に招待選手として”米初上陸”。
「ペブルビーチナショナルプロアマ」で米デビュー戦を迎えるなど、愉快なキャラは国内外で愛される。
初日に続いて石川と、先週優勝の比嘉一貴と一緒に回り、「2人とも本当にジェントルマン。2人のファンが、私のことも応援してくれたので僕も気持ちよく回らせてもらうことができました」。
抱腹絶倒の”虎劇場”は、謙虚と感謝あってこそだった。