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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2003
今季最終戦で有終の美を飾る!! 平塚哲二
今季最終戦で有終の美を飾る!! 平塚哲二
9月12日時点の賞金ランキングで資格を得て、本当なら今週は、米ツアーの最終予選会に挑戦するつも りだった。だが今年、日本で勝ち星があげられなかったことで、きゅうきょ予定変更。日程ぎりぎりま で迷い、決断を延ばしていたが2週前、泣く泣く今年は見合わせることにした。
夢だった世界への挑戦を、断念せざるをえなかった悔しさをにじませながら、平塚は言ったものだ。
「・・・やはり、日本でひとつも勝ててないのでは、海外に出てもお話しになりませんから・・・」。
それだけに、この“最終戦”にかける思いは強かった。これまでは、「性格的に、狙っていって良いこ とは何もない」と、あえて自らプレッシャーをかけないよう、平常心を心がけてプレーすることが多か った。
だが今週は、「もうむちゃくちゃ意識してやってみよう、と。きれいなショット、きれいなパットじ ゃなく、もっと気持ちでゴルフをしよう、と決めてきました」。
そんな思いのたけをぶつけるかのような、この日3日目のプレーだった。
4番で左奥から20メートルものバーディパットを沈めてますます火がついた。続く5番で4メートルを沈めると、6番パー5では、残り250ヤードからクリークでつけた左カラーから15ヤードのイーグルパットを、パターでカップイン。
「上を意識してやって、さらにそれがうまいこと行っているときは、ますます気持ちが前に出る」。
後半になっても、勢いは止まらない。ハイライトは16番パー4だった。サンドウェッジで打った86ヤードの第2打は、ピン奥30センチに音をたててバウンドすると、そのままバックスピンでカップに吸い込まれていった。
この日2個目のチップインイーグル!
しかも興奮はこのままでは収まらなかった。次の17番パー5だ。残り240ヤードから4 アイアンで20メートルに2オンしたイーグルパット。ボールは惜しくも、カップをのぞきこむように手前でピタリと止まってしまった。あわや2連続イーグルのスーパープレー。
「あと、ちょっと。・・・ほんのちょっとでしたよね!」大歓声の中、人差し指と親指で、カップとボールの隙間を示しながら苦笑いを浮かべた平塚。この日、東京よみうりがもっとも沸いた瞬間だった
このバーディで2位と3打差の通算13アンダー、単独首位浮上。
今年もう、なんど迎えたかしれない初優勝のチャンスは、やはりこの最終戦でもやってきた。「まだ、“経験”がないんでピンと来ないけど・・・。今週も、大チャンスであることは間違いない」。最終日こそ絶好調の今季を象徴するプレーで、有終の美を飾りたい。