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~全英への道~ミズノオープン 2022

ロン毛のパパの初勝利。ビンセントの幸せな思案

延長2ホールを戦い終えて、ひとつにまとめたブロンドのお団子ヘアをはらりと解くと肩近くまであった。

「髪を伸ばすにあたり、清潔さを心がけています」という。

端正な顔立ちに、ロン毛のビンセントは最初、男性スタッフの間でかっこいいと火が付き、じわじわ浸透。30歳の誕生日を迎えた先週の大会では、熱烈な女性ファンからヘアワックスのプレゼントをもらっていた。

 

初優勝から2勝を飾ってブレイクした昨季は、妻のケルシーさんがいつも隣に。

キャディとして健脚を見せたが、今年4月に第一子となる長女のゾーイちゃんを出産。

今夏まで育休を取る予定だ。

 

それまでの代役として、友人キャディを伴い3週前の「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」で日本ツアーに合流し、今季3戦目でさっそく通算3勝目を飾った。


 

最終日は7差の11位タイから出て2番でラフからチップインイーグルを奪うとあれよとスコアを伸ばしてベストスコアの「65」。通算12アンダーでクウェイルに追いついた。

 

7差もあったので、プレーオフになっただけでも驚きなのに、まさか優勝もできるとは…」と、絶句したわりには最初の延長ホールでティショットを池に入れても「チャンスが消えたわけでない」と、冷静だった。

 

ドロップし、3アイアンの第3打を奥の観戦スタンドまで豪快に飛ばして寄せワンでしのぐと、今度はクウェイルが池に入れた2ホール目にボギー、パーで決着。

 パパでの初勝利だ。

「お父さんになってすぐに優勝できたことが嬉しいです」と、青く優しい目元をいっそう下げた。

 

先月5日の出産に立ち会い、ケルシーさんの回復を十分に確認してから家を出てきたばかりなのにもう会いたい。

「愛してる。次会えるまで待っててね!」との伝言を残して、今夜の便でイギリスへ。

次週はアジアンツアーの「インターナショナルシリーズUK」に出るという。

「忙しい…!」と悲鳴をあげたが来月の初メジャーに向けてはちょうどいい下見。

 

「全英オープンに出るのは子供のころからの夢。この優勝でそれが実現して、信じられない気持ちです」と喜びを語り、「セントアンドリュースには、なんとか妻と娘を連れていけないものか……」。

ロン毛のパパが思案に揺れた。 


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