プロ15年目の安本大祐(やすもと・だいすけ)が、2日間合計7アンダーと上々の決勝ラウンド進出を決めた。
インから出た2日目の第2ラウンドは、「ピン位置を凄く難しく感じたので。僕の中では我慢ができた」と、前半2ボギーの「37」にも前を向いて折り返すと6メートルのイーグルを沈めた後半アウトの1番パー5を合図に大変身。
そこから息もつかずに2番、3番で共に3メートルを沈めて連続バーディをキメると、6番では30ヤードの2打目が入りかけ。
8番で1メートル強のチャンスも逃さず、やにわに「自己初のハーフ20台」が見えた。
「練習でも出したことがない」と、欲を出した途端に最後の9番は、8アイアンを持った164ヤードの2打目が「ダフり気味」。
ミスショットが招いた段下15メートルもの遠い遠いバーディトライは「寄るとも、入るとも思っていない。こういうのが入らないと、20台って出ないんだな…」と、暗澹たるパットがあれよとカップに沈んで「まさか入るとは…!」。
こうして「37→29」のデコボコカードは完成された。
東北福祉大で1学年上の池田勇太と本当に久しぶりにサシで食事をしたのは今週月曜日だ。
175センチの身長に比して体重は超軽量の50キロ。
「腸が弱い家系だし、みなさんの欲望と真逆な感じ。食べることにものすごくストレスを感じるタイプ」と、元来の食細に加えて、依然として油断できないコロナ禍だ。
「感染にものすごく気をつけている。僕から2人で、とお願いしました」と、1対1の熱い食卓は昨今の安本のプレー態度について。
「うまく行かないときの気持ちは俺も分かるよ」と最近、沈みがちな安本に共感した上で、「下を向くんじゃない。もう少し楽しく。お客さんに嫌な思いをさせないように」と、諭され痩身の背筋が急に伸びたという。
ツアー通算21勝の大先輩。
「尊敬する人に言われたら、変えなければいけない」と、上向いて、前を見たら、林に行ったショットが木に当たって打てるところに出てきたり、「凄く幸運でした」と急に運も開けた。
日没サスペンデッドとなった前日初日は最後の18番でも、「スコアボードの灯りでやっと見えるくらい」と、1メートルの微妙なラインを暗がりで手探りのパーセーブ。
しかも安本の組までギリギリ上がりきることができて、この日の2日目も、余分な早起きをしないで済んだ。
「合宿や練習でも攻め方を教えてもらったり、本当によくしていただいて。今回も、勇太さんのおかげでポジティブにゴルフができた。明日以降も苦しい時間は必ずくると思うがふて腐れず、残り2日もいいつけを守って頑張ろうと思います」。
優勝はおろか、シード権の確保もまだ。
プロ日本一を決める大舞台で、無印の35歳が“笑う門に”を信じて歩く。