プロ11年目の31歳、小袋秀人(こぶくろ・ひでと)が、人生初競技で目覚めたのは前半の8番だ。
よりスコアを動かせる選手に有利なポイント制で、前の7番までずっとパー。
「ここで、なんとか2パットのバーディを」と、狙いすませたのはのぼって下る20メートルものイーグルトライだ。
「ラインは出だしフックで、最後にスライス。入れるつもりもなかったパットが入っちゃった!」と、仰天の5ポイントゲットで序盤の膠着を一気に崩した。
「そこから流れが変わった」と、次の9番では右横4メートルのバーディチャンスもしっかり決めた。
さらに10番の連続バーディで波に乗り、最後18番でも連続バーディ締め。
プラス2点のバーディ5つと、ボギーはひとつで減点はわずか1。
この日は尊敬する日大先輩の言葉が脳裏に新しかった。
前日5日水曜日にABEMAの練習ラウンド生中継で、米1勝の小平智とプレー。
「ジュニアから見てきた憧れの選手。アメリカでも勝ったりあれだけの人でも、自分に期待にしていないんだ、と。いい意味で、一喜一憂しない、と。そこが自分と違うところ」と、初めて経験する雨中のポイントターニー戦でも大いに役立った。
この日は大雨が降ったが「コブクロはテブクロしない」が知人間の合言葉。
5歳でゴルフを始めたときから装着したことがなく、こんな大雨でもむしろ手袋をつけると、「飛んじゃって、わけわからなくなっちゃう」と、素手で器用に14ポイントを稼いで、2016年の日本ゴルフツアー選手権以来となる自身2度目の首位で初日を発進した。
昨季のABEMAツアー「ディライトワークスチャレンジ」でプレーオフを制して、プロ初勝利を飾ると同賞金ランク9位で、今季初のツアーメンバー入りを果たした。
初の連戦で「疲労はたまっているけど、それも嬉しい悲鳴」と、夜1時間の半身浴で乗り切る。
この日のスコアをストロークで換算した「65」は1打更新の自己ベストも参考記録で幻と消えるが、「そういう競技方針なので仕方ない。それより、優勝の記録が残るほうが嬉しい」。
初日の好発進で、初Vの手ごたえも少し得た。
※JGTO主催、選手会共催の新規大会「For The Players By The Players」は、1990年から98年で開催したアコムインターナショナル以来となるステーブルフォード形式(ポイントターニー)で開催。
今回は各ホールの規定打数に比例してパー0点、バーディ2点、イーグル5点、アルバトロス8点、ボギーはマイナス1点、ダブルボギー以上はマイナス3点と得点を設定し、その総得点を競います。