プロ5年目の大岩龍一(おおいわ・りゅういち)が、首位のハン・リーと小袋秀人(こぶくろ・ひでと)に次ぐ1点差の13得点で、単独3位につけた。
大岩にとって初めて臨むポイント競技だ。
「昨日まで、攻めなくてはいけないのかな、とか、バーディパットはショートしないほうがいいのかな、とか」。
いろいろ、策を練ってきたそうだが「今日、最初の何ホールかですぐに気が付きました。今までやってきたことを、変える必要はない、と」。
普段のストロークとゲームプランも、心構えも変えないのが自身で行き着いた一番の策。
2バーディ、1ボギーで堪えた前半から一転、大量得点に転じた契機は、ますます降り始めた大雨だった。
「球が滑るかも、と思ったので分かり易くドローを打っていく考えにシフトしたら少しずつ調子が上がってきて。後半はしっかりとフェアウェイキープができた」と、チャンスにつく回数もにわかに増やしてバーディ5つで計10ポイント追加。
「今週は6バーディと、4アンダーが毎日の目標」と設定したゲームプランにバーディ1個と、アンダー2つをそれぞれ、上乗せする好発進が切れた。
今週は、同週開催のABEMAツアー「石川遼 everyone PROJECT Challenge」で7つ下の弟、千葉黎明高校3年の慶尚(よしなお)さんが、プロの試合に初挑戦。
共に同じコーチに師事するだけあり「パッと見は、僕とそっくり」と、兄譲りのショットでプロを目指して研鑽中という。
「僕も初出場は18歳のとき。フジサンケイクラシックのマンデートーナメントを通ったときは、緊張しました」と、その心情を思いやったが、「今回の試合に向けて、特別なアドバイスはない」と、あえて厳しく突き放した。
「彼にもやるべきこと、悩みはあると思うので、そこに答えることはありますけど、そこは自分で気づくもの。僕がいうことは何もない」。
厳しい兄の顔を見せたが、ちょうど自身のホールアウト時は、弟さんが予選カットラインをさまよっていたとき。
スコア速報をチェックするなどひそかに結果を気にかけたが、慶尚さんは2打足りずに予選敗退。
兄自身もくぐり抜けてきたいばらの道だ。
統合シーズンの昨季は、年明けの2021年初戦から出場5試合で連続のトップ10入り。
初優勝に何度も迫り、賞金ランク23位で初シードを獲ったが、今季はまだ10位に入った5月の「ミズノオープン」の一度だけ。
「当然そういう気持ちはある」と、ここらで一気と行きたいのはもちろんだが、「まだ初日。明日もまた、6つのバーディを目指してプレーしていくだけ」と、模索する。
厳しい世界で生き抜く兄の姿を背中で見せる。