「でも、今はボロボロですよ」。
「…カサカサだし」と、谷原のボヤキに被せてきたのは大学同期のキャディさん。
久保超路(くぼ・ひろみち)も、5年ほど遠ざかってはいるが、かつてツアーを目指していたプロゴルファーだ。
「稼ぎきらんかったので」と、今は東京・代々木でインドアゴルフ場と、「すっごい焼肉」というユニークな名前の焼き肉店を経営する実業家として活躍するが、「来年のQTにまた挑戦しようかな、って…」。
再挑戦を前に、昨今のツアー見学を兼ねて、本当に久々に、尊敬する大親友をサポートしに来た。
「18年くらい前、谷原がデビューしたての頃にも一度、自分が担いだことがあって。そのときはまだお互い25、6歳。俺たちこそぴちぴちだったね」と、笑い合う。
「でも、今は立ち上がるもしんどいくらい。今週はまず、お互いケガなく完走すること」と、冗談交じりに言いながら、今なお、第一線で気を張る親友を尊敬する。
「谷原は今年、選手会長という重責をしながら選手としても成績を残している。本当にすごいと思う」と、久保。
10月の「日本オープン」で史上初のアマ2勝を飾った蝉川や、今週のシーズン最終戦を待たずに賞金王に就いた比嘉一貴もみな大学後輩だ。
「久しぶりだな元気か?なんて。気安く肩を叩けない偉大な後輩たちばかり。ちゃんと育ってるな」と、目を細めながら「谷原は今週、連覇もかかるし、自分はすぐそばで見守りながら、先輩の存在感というか、意地みたいの引き出せたら」と、意気込む。
今週は、女子ツアー7勝で、大学の6つ下の佐伯三貴プロ(=写真中央)も、蝉川のコーチとして練習日から会場入りしている。
卒業後も一緒に練習していたというチームメイトと今季最後の頂上決戦で、思いがけない同窓会。
それぞれの立場で「頑張ろう」と、声が揃った。