奈良県ゴルフ協会が主催するジュニアゴルフクラブ育成研修会が、奈良国際ゴルフ倶楽部で開催され、昨年ABEMAツアーで初優勝、今季からはレギュラーツアー本格参戦の田中裕基が講師を務め、小学生から高校生までの14名のジュニアと交流を行った。
このジュニア育成研修会は、県内のジュニアゴルファーのレベルアップを目的に2003年からスタートし、約20年の継続活動から藤本佳則や木下稜介なども巣立っている。
第一回から関わる杉本真美プロが、奈良県ゴルフ協会と連携して、エチケットやマナー、そして人間力の指導にも重点を置き、地道に続けている活動でもある。
その刺激の元となっているのが奈良県出身の谷口徹だ。
谷口は自身のシーズンオフの12月に、この研修会の冬季版で長年講師を務めてきた。
田中は当時の思い出を「谷口プロとのアプローチ対決が毎年楽しみで、自分の順番が来るまでワクワクしていた」と振り返る。
2019年を最後に、コロナの影響でその登場の場も見送りされてきたが、シーズン中のこの4月に、これまで谷口から刺激を受けてきた田中裕基が、今度は講師役にまわる出番となった。
開会式では子どもたちから自己紹介を受けた後、田中から「短い時間ですが何か僕が経験してきたことを持って帰ってくれたら嬉しいです」と挨拶。
続く質問コーナーでは、ジュニアに加え、その親御さんからの質問にも丁寧に答えた。
後半はアプローチエリアに移動して、チップ&パター対決や、パー5でのティショットからカップインまで、一連のプレーの流れを、足の裏でショットの振動を感じる近さで見学した。
講師を務めた田中は、「僕はまだ大学生で未熟で指導など全然上手く出来ないですがジュニアの皆さんと楽しい時間を過ごすことが出来て嬉しかったです。もっと練習して活躍してまた皆さんと一緒にゴルフをしたいと思いました。」と、短い時間での交流だったが後輩たちから刺激を受けたようだ。
研修会に参加したジュニアの中には、昨年米国で開催の世界ジュニアに出場した高校2年の今村吏桜くんや、世界での活躍を夢見て鍛錬を積んでいる高校3年の坂下一咲さんも参加しており、田中が彼ら彼女らに刺激を与えた一日になったようだ。
田中は小学生の頃、この研修会で谷口あてに書いた手紙を谷口の前で読み上げる場面があったそうだ。
その手紙には、「僕がプロゴルファーになって谷口プロと一緒に試合に出たい」と書かれていた。
それから互いの時が経過して、ツアー開幕戦の東建ホームメイトカップでその夢が一つ叶った。
順位こそ26位タイと目指す位置には届かなかったが、同郷の谷口を目標に、今季から本格参戦のツアーの舞台での活躍が期待される。