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ツアープレーヤーたちの新シーズン<現在賞金ランク1位!! 宮里聖志>
妹の藍さんが、女子ワールドカップと、欧州女子ツアーのANZレディースマスターズで優勝争い。
出先でも、兄は気になってしかたない。
インターネットや電話で何度も妹のスコアをチェック。初代女王に輝いたワールドカップの最終日は地元・沖縄の練習場で、手に汗握りながらテレビで観戦した。
大会&自己タイ記録の63をマークして単独首位に立った先週のANZレディスマスターズ初日には、激励の電話も入れた。
「おまえ、俺の教えどおりにやれてっか?」(聖志)。
「あんたの教えどおりにやらなければ、大丈夫やわ」(藍さん)。
「あ・・・、やっぱし!?」(聖志)。
憎まれ口をたたかれても遠い異国の地で、妹がリラックスしてやれている、と分かれば安心できる。
国内のみならず、世界中から注目を浴びるほどの存在にのぼりつめても、「僕にとっては、目に入れても痛くないほど、可愛い妹。もう、腹立つくらいに可愛いくて」と、目を細める。
今でも覚えている。8歳下の妹が生まれたときのことだ。
連絡を受けた聖志は嬉しさのあまり、家を飛び出し、近所の人たちにこう報告して回ったという。
「うちに“藍ちゃん”が来るんだよっ!!」。
今でも、妹のことは「藍ちゃん」と呼んでいる。それは、テレビや会見など公式の場でもだ。「藍」と呼び捨てにすることは、ほとんどない。
その呼び方に、いとしさが、あふれている。
自分は、といえば周囲の人からは、「宮里聖志」ではなく「藍ちゃんのお兄ちゃん」と、呼ばれることも多い。
人前では「去年、自分もせっかく初優勝をあげたのに…」と、冗談で愚痴を言ったりすることもあるが、妹思いの兄には実はそれも、まんざらではないのだ。
細かいことにこだわらず、マイペースで歩いていけるのが宮里家の長男の強み。
これからも、妹の活躍を見守りつつ、自分の道をまい進する姿勢は変わらない。
このオフ、地元・沖縄でのハードなトレーニングで、絞りこんだ肉体。
打ち込みを積んで、精度をあげたショット。
満を持して、まもなく開幕する新年シーズンは、いきなり“賞金ランキング1位”で迎える。
昨年12月に初優勝をあげたアジア・ジャパン沖縄オープンは、2005年にカウントされる大会なのだ。
「賞金ランクトップとか、そういうことは意識していないけど・・・。それでも、できるだけ長くその位置にいられるよう、頑張るつもりです」。
日本女子ツアーはひと足早く今週から開幕するが、“お兄ちゃん”の2005年も、まもなくあけようとしている。
※写真は、2月26日のジャパンゴルフフェア最終日に、用具契約先「ブリヂストン」のブースで行ったトークショーでの風景。
「得意クラブは、全部! 僕の趣味はゴルフ。それほどに大好きなゴルフで、仕事ができるようにしてくれた父親には、今でも感謝しています」(トークショーから)