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サン・クロレラ クラシック 2002

「ポジティブなゴルフが、できているんだ」

1番のティショットが左林へ。だが、木と木の間を抜ける冷静なリカバリーでバーディ発進した
4位の中嶋常幸

 予選2日に続き、この日も、中嶋、谷口の同組ラウンド。
 ホールアウトしてきた谷口が、首をひねる。
 「トミーさんが、(先月の)イーヤマカップのときに、僕のパットを盗んだっていう。それで、今日も羨ましいくらい入ってる。おかしいなあ…。僕のこんなヘボいパットの、何が参考になるんやろう…」
 何度も、短い距離を外してため息をつく谷口を横目に、中嶋が、次々とパットを決めて、高笑いだ。
 「最初は、僕が盗む立場だったのに、今日はスコアで上を行ったね!」
 谷口が、中嶋のパッティングを誉めていた、という話を伝え聞き、
 「普段、辛口の人間に誉められるとうれしいもんだね!」と目を細めた。
 詳しくは明かさないが、谷口のパッティングスタイルに、「名手に共通した部分を見つけた」という。
 出だし1番で3メートル、3番では、8メートルのバーディチャンスを決めて、「まあ、打ち方だね。谷口を見ていて、気が付いたことがあったんだ」とニヤリ。

 今季、ツアー復活Vをとげ、また、全英オープンで、7年ぶりにメジャーの舞台を踏んだいま、悟りの境地にいる。
 「しばらく、苦しい時期もあったんだけど、そのとき、ある本の1文を読んで、『これだ!』と…」
 それは、どんな厳しい条件も、「しょうがない」といって受け入れること。
 「でも、その“しょうがない”は、けっしてネガティブじゃないんだ」と中嶋はいう。
 「やれることはすべてやり、チャンスを信じて頑張っていく。その結果、勝つときは勝つ、負けるときは負ける、と思える…。いま、そんなポジティブなゴルフが、できているんだ」
 心から、ゴルフを楽しむ姿。中嶋が、復活Vをさかいに、新境地を、開きつつある。

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