「ケイタ、あと何回立つの・・・!?」と、4日都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われたジャパンゴルフツアー表彰式で思わず声を上げたのは、ソン・ヨンハン(宋永漢)。
壇上で席を並べた9歳下の中島啓太(なかじま・けいた)は、賞金王と合わせて部門別などで6冠を達成。
でも、表彰は6ついっぺんにではなく、1部門につき1回ごとだから、中島はそのたびに席を立っていくので、隣のヨンハンもソワソワと落ち着かない。
席に戻ってきて次立つたびに、中島の蝶ネクタイの位置を直してあげる様子に優しい性格がにじみ出ていた。
ヨンハン自身もネクタイを結ぶのは、イ・ジンイさんと結婚式を挙げた2021年の12月以来。
「出来ないです~」と、四苦八苦。
本番前の控え室で結んでもらって「恥ずかしい・・・」と照れていた。
2015年の「最優秀新人賞 島田トロフィ」と2017年のサンドセーブ率賞」に続いて、6年ぶり3度目の受賞は、パーオン率賞で1位に。
シーズン途中は特別スタッツを気に懸けたりはしなかったそうだが、だんだん押し迫ると「ギリギリ乗ってないときに、これ乗ってたら、1番になれるのかな・・・」と、ちらりとよぎったことも。
「とにかく、最後1位になれたのは良かったな」と、エクボが深くなる。
賞金王には届かなかったが、中島、蟬川、金谷のいわゆる「NSK」に次ぐ賞金4位フィニッシュは、「SMBCシンガポールオープン」で、初優勝を飾った2016年シーズンに並ぶ自己ベスト。
ヨンハンが今季、自身の好調の要因に挙げたのも、隣に座る中島ほか、トップ3の面々だった。
「ケイタも、タイガも、タクミもほんとにスゴいな、と思ったし、ちゅよい(強い)な、と思ったし、先週(シーズン最終戦・ゴルフ日本シリーズJTカップ)もスゴかったぢゃないですか。みんなぼくより若いですけど、ほんと勉強になる。みんながいるからもっと強くなれると思うし、うまくなれる思いました」と、32歳のヨンハンもNSKの相乗効果に大いに刺激を受けたという。
「ボクも全体的によかったと思いますけど、ひとちゅ(ひとつ)しか勝てなかった」と、優勝は7年ぶりの通算2勝目を飾った8月の「Sansan KBCオーガスタ」の1勝だけ。
その分、2位は5回と悔しい思いをしたほうが多かった。
「来年はうまくいくように準備して、優勝2回以上して自分が満足できるように頑張ります」と雪辱を誓ったヨンハンは、オフは韓国に帰って、コーチのイー・ジョンウーさんと改めてスイングの見直しをする。
「今年は毎日日本から電話もして、チェックしてもらって、彼のおかげですごく良くなりました」と、感謝する恩人と、春までたっぷり調整につとめる。
兵役を終えて戻るなりコロナ禍となり、隔離時の選択で日本ツアーにとどまることを決めてから3年。
当時、担いでくれるキャディさんが見つからず、困っていたときに快く引き受けてくれた水梨順子さんにも、すごく助けてもらった。
「ここまで来られたのも順子さんのおかげ。ボクたちはチームですから。本当に、ありがたいです」。
今年は、たくさんボーナスもあげられる。
家族と離ればなれの転戦は寂しいが、日本ツアーにも友達はたくさんいるし、まだ、しばらく母国ツアーに帰る予定はないそうだ。
「そうですよ、今年はまだ3ツアーズもありますからね」と、張り切っている。
今週10日の女子とシニアと男子ツアーの対抗戦「Hitachi 3Tours Championship(日立3ツアーズチャンピオンシップ、千葉県・大栄CC)」で、2度目の出場を果たす。 チケット アクセス 競技方法 出場選手
初出場の前回2016年も優勝に貢献した。
今年、JGTOは史上最多となる3度目の連覇がかかる。
「じぇったい(ぜったい)勝ちたいです」。
今度は気合いでエクボがヘコんだ。