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2023年もあとわずか。星野陸也が打ち納め&激動の1年を総括

今年ももうあとわずか。
もっとも激動の2023年を、過ごした一人である。

星野陸也(ほしの・りくや)が29日に打ち納(おさ)め。


11月の「カシオワールドオープン」で初優勝を飾った同学年の鍋谷太一(なべたに・たいち)と星野の地元茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブで勝負をし、鍋谷が2アンダーで、星野はイーブンパー。

「負けました・・・w」と星野にはちょっぴり悔しい結果にはなったが、「ひとまず、今年のゴルフはきょうで最後」。

リベンジはまた来年以降に持ち越すとして、怒濤の1年を総括した。



欧州・DPワールドツアーを主戦場にした今季、日本ツアーは5試合にとどまったが、特に年末に、海の向こうで大いに沸かせた。

いわゆる「NSK」の中島、蟬川、金谷によるV争いで盛り上がった今季最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」と同週の「ISPS HANDA オーストラリアオープン」では、ほとんど時差がないことから、同タイミングでV争いを展開。



ホアキン・ニーマンとのプレーオフに突入した時には星野も、11月に初制覇を果たした久常涼(ひさつね・りょう)の快挙に続くのか・・・?!と、東京よみうりの会場も盛り上がったが、2ホール目にイーグルを獲られて敗退した。


「悔しかったし、本当に惜しかった」。

優勝できたらもちろん、最高だったが、その前週の欧・開幕戦「豪州PGA選手権」に続く2週連続2位と合わせて稼いだ668ポイントは、前季1年かけて稼いだ654.63を軽く突破。

ランキングも2位で年を越し、同大会上位4位の資格で全英オープンの出場権も獲得できた。



地元出身の新鋭ミンウ・リーらと2週連続のV争いは完全アウェイでありながら、大観衆の中には『HOSHI』や『RICKEY(星野の愛称)』の手書きボードで応援してくれるファンもできるなど一躍人気者に。

SNSにも英語の応援メッセージが届いたり、負けてもプレー後のサイン攻めに合うなど、豪州に新たなファンを開拓して帰国した。



初の海外連戦に挑戦した今年。
日本に戻ってすぐは「過去イチ、といっていいくらい、ゴルフがしたくなくなった」と、しばらくは抜け殻だった。

昨季の日本ツアー賞金2位で資格を得たといっても、星野の出場優先順位は高くなく、現地に行っても出られるかという状況で、国境をまたぎ続けるのは「それはやっぱり辛かった」と、振り返る。


郷土料理も異文化も、1週間くらいで終わると思えば楽しめる。
「パスタも、ソーセージも最初のうちは美味しいんです。でも昼も夜もが1ヶ月とか続くとさすがに『味噌汁飲みたい、帰りたい』と・・・・・・(苦笑)」。

ホームシックをわずらった時もあったが、踏みとどまれた。


27歳になった5月12日は、ベルギーでの大会2日目。
最終ホールで「あなたはグリーンに残ってて」と、突然現れたスタッフに呼び止められて、なにごとかと構えていたら、観戦スタンドから大ギャラリーの大合唱が降ってきた。


「ハピ~バ~スデ~♪ディアリクヤ~~~・・・・・・」と、歌が終わるまで、後ろの組で回っていた川村昌弘(かわむら・まさひろ)がセカンド地点で待っていてくれたのも、忘れられないサプライズとなり、「転戦が一気に楽しくなるきっかけになりました」と、感謝する。


ケニアの試合では、ショットの絶不調で滅入りかけたが、どこに曲げても必ず球を見つけてくれたフォアキャディさんの強視力に助けられ、ドイツのアウトバーンで送迎車の時速230キロには心臓が飛び出たけど、「アトラクションみたいで面白かった」と、今となっては愉快な語り草になっている。


薬丸キャディとの2人旅も「お互いに体調を崩したり、しんどいこともあったけど、チームで乗り越えられました」と、苦楽を分け合う相方への感謝も増した。


9月のアイルランド大会で7位につけて、初シードを確定させた。
前週トップ10の資格で、翌週からの高額大会「ロレックスシリーズ」の出場資格も得るなどひとつ山場を越えた頃には環境にも順応し、「やっと一員になれた気がして嬉しかった」という。


日本ツアーを含めて今年は27試合に出場。
17の国と地域を歩いてきて改めて思うのは、「日本はやっぱり、すごくゴルフ大国なんだな・・・、ということです」。


先日、日本ツアーの来季日程が発表されたが「ゴルフ発祥と言われるイギリスでも大きなトーナメントは年に数回ほど。ひとつの国で、20試合以上も開催されるというのは、実は凄いことなんだと。それだけ、日本にはゴルフを応援してくださる方が多いということですし、本当に、ありがたいことですよね」とは、大海に飛び込みもがいてきたからこそ、改めて噛みしめられた思いでもある。


「来年はもう少し、日本ツアーへの出場も増やしたいですけど、自分の中では勝負の年と位置づけていますので・・・」と、1月の中東シリーズからさっそくスケジュールを立てている。

新年早々から腰を据えて目指すのは、初優勝⇒PGAツアー昇格の“久常ルート”だ。


「ツネ(久常の愛称)は今年1勝と活躍したけど、それでもPGAツアーに行けるトップ10にはギリギリでした(ポイントランキングでは17位)。自分の場合は、少なくとも2勝以上はしないとだめと思っています」と、目標も高めに設定している。


星野らに続き、来季は中島と蟬川と金谷の国内トップ3が資格を得た。
「3人とも来るのかな? 仲間が増えると、賑やかになって嬉しい」と、合流を心待ちにする。


ハタチの2016年にプロ転向して、いつまでも後輩気分でいたけど星野も来年はもう28歳。
「いつの間にか、自分も30歳が見えてきました」。
シードの先輩として迎え入れる年下たちとの切磋琢磨も楽しみだ。

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