冒頭の寄贈式で、武藤と共に進み出た寄贈者のお名前が読み上げられると、みんなざわついた。
「“まえむら”さんって・・・」。
スナッグゴルフを受け取った代表児童も“まえむら”くん。
前村蒼馬(まえむら・あおば)くんは、前村直昭(まえむら・なおあき)さんの息子さん。
今回の寄贈は、前村さんが主催するツアー外イベント「MAIN STAGE JOYX OPEN(メインステージジョイックスオープン、JGTO後援)」が大会発足の2009年から続けてきたチャリティ活動の一環で、大会会場の地元・兵庫県佐用町の小学校など、ゆかりの地にスナッグゴルフを届けてこられたが、このほどついに前村さんの地元・芦屋へ。
まずは、長男の蒼馬くんが通うここ朝日ヶ丘小学校を皮切りに、市内全7校の寄贈を目指しており、この日は武藤と一緒に前村さんご夫妻もそろい踏みで、指導にも熱が入った。
「プロゴルファーも夢のひとつ」と、レッスンにも通っている蒼馬くんだが、前村さんがかつてキャディで支えた歴代賞金王(01、03年)の伊澤利光の偉大さを理解したのはやっと最近。
目標の選手も「チャーリー・ウッズ!」と、なぜかまだ14歳のタイガー・ウッズの息子を挙げる辺りも微笑ましいが、お父さん、お母さんの影響で、ゴルフ通には違いない。
この日の講習会でもクラスメイトからアドバイスを求められたり、自覚も芽生えた。
「僕も頑張らなきゃいけないと思います!」と、がぜんやる気に。
“プロゴルファーの二世プロ”はたくさんいるが、“プロキャディさんの二世プロ”で思い当たるといえば、ジャンボ尾崎のエースキャディをつとめた佐野木計至さんの息子さんの昌裕プロくらい。
武藤も「蒼馬くんには頑張ってもらいたい」と、期待を寄せる。
この日は、「いつもお世話になってる前村さんのためにも」と、オフの合間をぬって講師として駆けつけた。
2006年の初優勝から通算7勝を重ねてきたが、20ー21年に14年守ってきた賞金シードを手放したあとは、まだ復帰に至っていない。
「特に去年は、ほんとにゴルフが分からなくなってしまって・・・」。
今も週2のトレーニングを欠かさず、師匠と慕う谷口徹が「ええなあ」と、羨ましがるほど体調はすこぶる良い。
でも、結果につながらないもどかしさ。
「加齢もある。道具の変化もあるし、感性が伝わらない、というのもある。ほんとにゴルフって難しい・・・」と、痛感した1年だった。
それでも試行錯誤は諦めず、「今年は、なんかやれそうな気がしてます」と、子どもたちの大歓声に紛れて45歳も明るい声が出た。
昨年、2年連続で参加したファイナルQTは若手に負けじと大健闘の17位。
一昨年の2位に続いて今年も出場権はがっちり確保してある。
復活を期して、2月10日から谷口と宮崎合宿に入る。
今季の目標は、もちろん復活のV8。
「若い凄い選手が次々出てきて、大変は、大変ですけど、自分もまだできる、と思って頑張ります」。
2024年こそ返り咲く。