覚醒の契機は、2週前から試合では初という中尺パターを投入したこと。
「中日クラウンズ」の練習ラウンドで、同学年の今平周吾(いまひら・しゅうご)が使っていたのを借りて打ったら「去年1年悩んでいた」というパットが見違えた。
短尺時は少し上げづらさを感じていた手も「単純な動きがしやすくなり、構えたところにあげられる。オートマチックに打てるようになった」と、効果を感じ、きゅうきょメーカーさんに頼んで本戦から使用。
「それが今週、やっと板についてきた」と、この日は特に後半9ホールで威力を発揮。
2メートル半を沈めた10番から3連続を記録し、1メートル弱を決めた15番から今度は、4連続バーディを奪ってハーフ「29」。
通算9アンダーまで伸ばして、首位と3差に急浮上した。
東北福祉大4年時の2014年にプロ転向し、2017年に初シードを獲得し、2018年の「日本オープン」では最終日最終組を経験したが、ABEMAツアーを含めても、初Vには至っていない。
今週は、急に迎えた逆転の初Vチャンス。
「まだ優勝したことがないので想像できない。どうしようか…」と、そわそわする。
「緊張しぃなので…」ともじもじする兵庫県宝塚市出身の関西人の最近の心の支えは、裏と表に3歳の長男・永玖くんと、9か月の次男・福くんの顔がプリントされたオリジナルのマーカー。
「嫁さんチョイス」という写真はそれはそれはかわいくて、「しびれるパットの前に見たら気がまぎれる」と、大切なお守りがわりになっている。
急に迎えたV争いはできればすぐ近くで愛息の存在を感じていたい。
「最終日の前に3打差だったら子どもを連れて応援にいく」が、絢香夫人との普段からの約束だ。
でも、竹安が試合で家を空ける間は夫人の実家の青森に身を寄せており、出発が遅れると滋賀県の会場には間に合わない。
「準備できるかな…?」。
スタートまでやきもきしそうだ。