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中嶋常幸サンドセーブ率受賞

“バンカー”には、いまだに忘れられない、苦い思い出がある。
78年、セントアンドリュースで行われた全英オープン。その3日目に1打差の2位で迎えた17番パー4で『9』を打った。グリーン手前のポットバンカーにつかまり、そこからの脱出に4打を要してメジャー制覇の夢は消えた。
以来、そのバンカーについた名前が『トミーズバンカー』。
中嶋の愛称にちなんで、命名された。

当時24歳。
あれから約30年のときを経て、51歳を迎えた今年はサンドセーブ率で1位を獲得。
その授賞式で、司会の有働由美子・アナウンサーに「バンカーショットが上手くなる方法は?」との質問を受けた中嶋は、一笑に付して言ったのだ。

「僕みたいに、同じバンカーから4回でも5回でも打ってみること。“砂を噛むような思い”を繰り返すことでしか、上達の道はないんです!!」。

ウィット溢れる回答に、シニアならではの余裕を感じさせた。

今年は、最良の年となった。
11月の日本シニアオープンを制し、いわゆる“日本”と名のつくタイトルを、すべて手中に収めたのだ。
しかも、会場の埼玉県・嵐山カントリークラブは、亡き父・巖(いわお)さんとの思い出が詰まったコースでもあった。
優勝カップを手にした瞬間、万感の思いがこみ上げたものだ。

その日本シニアオープンでも支えとなったのが、1本のサンドウェッジ。
「このクラブで、バンカーから入るわ、ラフから入るわ・・・。そんな素晴らしいクラブを僕に作ってくださった方々に、心からお礼を言いたい」。

ジャパンゴルフツアー表彰式でSRIスポーツ株式会社の宝田一義さんと、株式会社ハイマックスの森本興司さんを壇上に呼び寄せて、ありったけの感謝の気持ちを表した中嶋だった。

写真上=サンドセーブ率で1位に輝いた中嶋には、日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィーと、副賞として、カシオ計算機株式会社・宣伝部部長の樫尾隆司さまより、フルメタルクロノグラフ電波ソーラー腕時計“オシアナス”が贈られた。

写真下=中嶋がベストサポート賞に選んだのはSRIスポーツ株式会社の宝田一義さん(右)と、株式会社ハイマックスの森本興司さん(左)。「今年、サンドセーブ1位が獲れたのは、こちらの方々のおかげなんです」と誇らしげに紹介した中嶋だった。

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