記事

ダンロップフェニックストーナメント 2003

世界の舞台で培われた冷静な判断力で、トーマス・ビヨンが大会2勝目

「いますべきことに100%ベストを尽くしたからこそ」
世界の舞台で培われた冷静な判断力で、トーマス・ビヨンが大会2勝目

この日の宮崎は、4日間でいちばんの冷え込み。その上、海からの強風が、体感気温をさらに下げていく。同じ組のガルシア、伊沢はパッティングの不調もあいまって、苦戦を強いられていた。ビヨンも例外ではなかった。

1番で第2打をグリーン手前バンカーに打ち込んでボギーが先行した。8番、9番でも「バカげたミス」で連続ボギーだ。

悔やみつつ、ハーフターンでリーダーボードを確認した。他の選手たちも、伸びていなかった。苦しんでいるのは自分たちだけはないことが分かった。

最終日は、首位のガルシアと3打差からのスタート。「前半は、タフなコンディションにもかかわらず、ガルシアに追いつこうとして無理に攻めていったのが、うまく噛みあっていなかった」と、気が付いた。

「後半は、とにかく守りのゴルフに徹してミスを減らそう」と決めてバック9を進んだ。そのうちに、前半、乱れていたショットが修正されていったという。

おかげで、ズルズルと後退していくライバルたちを尻目に、17番までじっとパーでこらえることができた。

「ゴルフゲームにおいては、そのとき必要なショットを、必要なときに打てることが、もっとも大事なことです」とビヨンは言う。

欧州ツアーで7勝、そのほか5勝。世界の舞台で培われた冷静な判断力は、今週の優勝争いでもいかんなく発揮された。

じっと耐えしのぎ、リーダーのままいよいよ迎えたクライマックスホール。前組でまわる丸山大輔が、17番のチップインバーディで1打差まで追いついてきたことを知った。続く最終18番パー5でも、丸山は再びバーディチャンスを迎えていた。ビヨンは丸山のスコア次第で、いずれの攻め方もできるようにとティショットでフェアウェー右サイドを狙っておいた。2打目は手堅く、9アイアンで刻んだ。3打目地点から、丸山がバーディパットを外し、パーに終わったことが確認できた。あとはもう、きっちりと、グリーンセンターに打っていくだけで良かった。アプローチでピン左6メートルにつけた。このバーディパットは、ど真ん中からカップに沈んだ。

2位の丸山と2打差をつける通算12アンダーでつかんだ、99年以来の大会2勝目は「常にいま、自分がすべきことを冷静に考え、それに対して100%ベストを尽くそうとしたからこそ」とデンマーク出身の32歳は胸を張った。

写真下=ディフェンディングチャンピオン横尾要(=左)からチャンピンブレザーを受けるビヨン。「私の国から日本に来るのはかなり距離があり、とても手間がかかるのですが、それでも毎年こうして宮崎に戻ってくるのは、それだけこの大会がすべてにおいて素晴らしいからです!」。日本食通でもあり、好物はスシだそうだ。「そうそう、特にマグロは最高だね!」

関連記事