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アイフルカップゴルフトーナメント 2005
髙橋勝成「僕も試合で頑張ってる姿を見せなくちゃ!」
対抗戦の2005年を選択し、感想文のボタンを押すと参加校ごとに、子供たちが書いた作文が出てくるようになっている。
同大会には昨年8月9日に、白血病のためこの世を去った髙橋の次男、勝紀(かつき)君が通っていた西宮市立苦楽園小学校の生徒たちも出場していた。
高橋も、会場に足を運び声援を送った。
そのときの様子を、感想文に書いてくれた子がいた。
勝紀君の同級生、重吉優穀君だった。
「スナッグゴルフ対抗戦に参加して」 4年 重吉 優穀
「すごいきんちょうしてるんやな」スタートを待っている時、高橋プロがぼくの心ぞうの上に手を置いて言いました。
そしておまじないを教えてくれたり指ずもうをしてくれました。
高橋プロが試合の前に「マナーを正しくやろう。ルールをちゃんと守ろう。ルールを守らない人は試合をやるまでもないんだよ。友達のプレーには、はく手をしよう。はく手された友達は力がわいてきて、自分はその倍に力がわくんだよ」と教えてくれました。
ぼくはそのとおりにし、そして本当に力がわいてきました。この2日間はぼくにとって、すごい思い出になりました。」
これを読んだあとしばらく髙橋は、言葉を失くしていた。
それから、ポツリと言ったものだ。
「子供は、ちゃんと話しかければ分かってくれるんだね。だからこそ、僕も偉そうに言ってるだけじゃダメなんだ。ちゃんと、試合で頑張ってる姿を見せなくちゃ。でないと、子供はついてきてくれるわけがないんだから・・・」。
そんな思いが、髙橋を突き動かしている。
猛暑の中、この日3日目も67をマークして、首位と2打差の通算12アンダーにつけた。その原動力は子供たちの声だった。
今年はじめに髙橋は、ジュニア育成の「KAT’S KIDS CLUB(カッツキッズクラブ)」をたち上げた。
自分の名前と勝紀君の名前をかけた名称のこのクラブには、レギュラーやシニアツアーで稼いだ賞金の10%を運用資金として寄付し、勝紀君の誕生日だった1月9日には、地元・兵庫県西宮でスナッグゴルフ対抗戦の「第1回勝紀杯」を開催した。
勝紀君の一周忌の翌日となる来月10日には、その第2回大会が行われる。
200人以上の子供が集まる今度の大会には、みんながいつまでも息子を覚えていてくれるように、と勝紀君の似顔絵が入ったタオルやウェアを作って、子供たちに配るつもりだ。
「そのためにも、うんと稼いでおかないと・・・!」
55歳が、声を張り上げた。