記事
中日クラウンズ 2002
最終日は、ほとんどノンプレッシャー
4打差首位で迎えた最終日。
ローズにほとんど、プレッシャーはなかった。
ただひたすら、「フェアウェーをキープして、2パットで上がること」だけを、考えていればよかった。
そうすれば、ほぼ間違いなく勝てる、と、ローズは確信していた。
同じ組でまわった桑原克典が舌を巻いた。
「タイガーのような派手さはない。けれど、ティショット、アイアン、アプローチ、パット…。どれをとっても、平均点以上のゴルフ。まだ、21歳なのにね」
今週、叩いたボギーはわずか5つ。
うち3日目は、ノーボギー。
そして最終日、唯一のボギーは14番パー4だが、
「でも、これもラッキー、ラッキーホールです。ティショットが完全にOB方向に飛んでいったのに、木に当たって戻ってきたのですから」
“ボギーを叩かないコツは?”と、報道陣に問われ、ローズは笑って答えた。
「とにかく、フェアウェーを狙っていくことかな。それと…母(アンさん)にいつも、“ローズ、あなたボギーが多いわよ”って、注意されるんだ。それが、効いているじゃないかな、きっと」
勝因については、「バンカーからのリカバリーショット」と振り返った。
グリーン回り専用と、100ヤード前後のアプローチ専用の2本のサンドウェッジで自在に球を打ち分け、今週、「12回入った」バンカーショットを、ほぼ確実にセーブした。
ぶっちぎりの完全優勝。
ウィニングパットを沈めると、ローズは、そっと、パターにキスをした。
「今年、ヨーロッパでの僕の平均パットランキングは、5位なんですよ」
プロ転向後、結果が残せず、周囲からのバッシングに苦しみぬいた日々も、もう過去のことだ。
21歳とは思えない紳士的なプレーで、毎日、確実にファンを増やし、最終日には、すっかり和合の人気者になっていた。
「今回の出場で、僕も日本が大好きになりました。おいしい食事に、親切な人たちに…。またぜひ、戻ってきたいものです」。
ヒーローインタビューの壇上で、再来日を約束したローズ。最後まで爽やかに、和合を去っていった。