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東建ホームメイトカップ 2004
単独首位のチャーリー・ウィが目指すところは…
単独首位のチャーリー・ウィが目指すところは…
相変わらずの強い風が吹くコンディションの中、545ヤードの4番パー5でピン1メート ルに2オン成功。これを沈めてイーグルを奪うなど、「とにかく、今日は常にしっか りとボールをヒットして、強い球を打っていくことだけを心がけたんだ」というウィ は、この日1アンダーをマーク。スタートの1番で、いきなり3パットしたが、東建多 度カントリークラブ・名古屋の超高速グリーンへの対応も、前日のうちにできてい た。「昨日の2日目に4回も3パットしたもんだから(苦笑)、ホールアウト後に、 『入れよう』とするのではなく、『極力カップに近づけよう』とする練習をみっちり と繰り返して不安を取り除いておいたんだよ」。11番で風のジャッジミスからティ ショットをOBとして、ダブルボギーを打ちながらも、耐えて通算2アンダーでフィ ニッシュ。単独首位に浮上した。
今季は、アジアンPGA(APGA)ツアーを主戦場にしているウィが、このジャパンゴル フツアー開幕戦への出場権を手に入れることができたのは、昨年12月の『アジアジャ パン沖縄オープン』。APGAとジャパンゴルフツアー共同開催の同大会では、今週より も、もっと激しい風が吹く中で堂々2位に食い込んだのだ。
韓国出身ながら、ゴルフの腕は米国仕込み。実力も、折り紙つきだ。
10歳のときカリフォルニアに渡り、11歳から本格的にクラブを握ると、めきめきと頭 角をあらわした。17歳のとき、カリフォルニアアマチュア選手権で最年少優勝。バー クレー大学時代の1995年には、タイガー・ウッズとともに、全米大学ゴルファーの トップ5を決めるオールアメリカンの一人に選ばれ、平均ストロークでウッズ、ス チュワート・シンクに続く、ランキング3位に輝くなど、華々しい経歴を誇ってい た。
「ウッズとは、大学時代だけでなく、ジュニア時代からずっと一緒に戦ってきたんだ よ」とウィ。「…まあね、アマチュア時代には、たまに彼に勝ったりしたこともあっ たけど、いまは…とても手が届かないところに行っちゃったよね」と、本人も苦笑い を浮かべるとおり、プロ転向後はかたやワールドランキングで首位を走りつづける世 界ランカー。かたや、戦いの場を求めて世界を渡り歩く日々。卒業直後のファイナルQスクールで1打足りずにつまづいたウィは、その後4年間を二 部組織のナイキツアー(現・ネーションワイドツアー)で修行を積み、昨年2年間は 欧州ツアーと、転々としてきた。
究極の目標は、もちろん米ツアーへの本格参戦。学生時代のライバルと、同じフィー ルドでしのぎを削るのが夢だ。今年のAPGAツアーの賞金ランキングでは現在9位につ け、徐々に自信もついてきた。「ぜひとも、再チャレンジしたいと思っているけれ ど…」としながらも、「ちょっぴり迷うなあ…」とふと、思案顔のウィ。
「というもの、実は僕は、日本ツアーのことをとっても気に入っているんだ。コース もスタッフも素晴らしいし、日本が大好きだからね…」。いずれにせよ、いま心にあ るのは、「とにかく明日、優勝することだけ」。この開幕戦での一発勝負で、まずは 日本での生活権を手に入れるつもりだ。