記事

<特集>ツアープレーヤーたちのオフシーズン・中嶋常幸

倉本昌弘は、50歳の誕生日を機に旅立った。まだ49歳の尾崎直道も、昨年のうちにQスクールに挑戦し、出場資格はすでに入手済み。5月に誕生日を迎えたら、すぐにも米シニアのチャンピオンズツアーに参戦できるよう準備万端、整えている。

そのほか飯合肇や尾崎健夫など、シニア入りと同時にアメリカを目指す選手が多いなかで、中嶋常幸はきっぱりとこう言いきる。

「僕はこれからも基盤を日本に置いておきたい。アメリカはメジャー級の試合だけにとどめて、あとは日本でやりたいと思ってるんだ」。

海外が嫌いなわけではない。かつて、メジャーで優勝争いを繰り広げた経験もある。いまの米シニアには80年、90年代にしのぎを削っていた“戦友”たちもたくさんいる。
今でも彼らに引けを取らず、十分に戦える自信もある。

それでも、中嶋があえて日本にとどまろうと考えたのは他でもない。
初孫の愛ちゃんのためだ。

今が可愛い盛り。「彼女を残して、アメリカなんか行けないっ」と、言い切る中嶋。
「今はできるだけそばにいて、成長を見守っていたいから」。
そんなささやかな望みを貫く一方で、日本のレギュラーツアーでの戦いにも闘志を燃やしている。

今年は、オフトレーニングに“水中ウォーキング”を取り入れた。
「脂肪燃焼の効率が高く、体にもほとんど負担がかからず関節が柔らかくなる」と足繁くプールに通う。
「今年は、若い子たちをギャフンと言わせたい。まだまだ、現役で頑張るよ!」。
“おじいちゃん”とは名ばかりの、トミーこと中嶋常幸が、その目をギラつかせている。

関連記事