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住建産業オープン広島 2000
「先週、歯を抜いたばかり」という山口治
4バーディ、ノーボギーの通算7アンダーで、2位タイにつけた山口治の前歯が、2本ない。
先週の『JGTO TPCイーヤマカップ』を、歯痛で棄権。帰ってすぐに歯医者にかけこむと、「疲労で歯茎が弱ってグラグラしていた」と、すぐその場で抜かれてしまったのだ。
「抜いたばかりで、まだ何も入れていないから噛み合わせが悪い。でも、それがかえってよかったのかも」ショット時に食いしばれないため「無理をせず、ポンと軽めに打っていったから、ちょうど芯にあたってフェアウェーをはずさなかった」という。
今季は、出場優先順位を決めるファイナルQTランク41位の資格で出場し、現在賞金ランク166位につけている。
このQTランクは今大会終了後に、これまでツアーで稼いだ賞金額によってリランキングされるが、それも先週、終了時点で55位。当初より、順位を落としているだけに「今週は、とにかく予選だけは絶対に通り、少しでも多く稼ぐつもりできました」。
それが、予選が終わって、優勝さえ狙える好位置に、「大それたことは考えない。ただ、僕はいつも3日目にたたくというジンクスがあるけど、明日はぜひそれを破って自分のゴルフをしたい」と意気込む。
奈良県出身の30歳。会場では、関西で活躍する杉原輝雄や、山本善隆、井戸木鴻樹らと行動を共にする。
「…というか、“どうぞ、(一緒に行動)させて下さい”という感じ(笑)。僕からしたらみなさん超一流のプレーヤーで、毎日、本当に学ぶべきところが多い。最高の環境で練習させてもらってます。
今週なんかは非常にラフが深いけど、皆さんの技を盗んだおかげで、たとえグリーンをはずしてもすごく良いアプローチで1パット圏内につけて、リカバリーできてるんですね。フライヤーの計算が、とてもうまく行ってる。
ツアーに出れるようになって5年目。まだ2日目とはいえ、今週、ようやく結果らしい結果も出て、素晴らしい先輩たちに恩返しできるチャンスができました」と山口。
単独2位は、ツアーでの自己ベスト順位。
しかも、「はじめての経験」という最終日最終組で、山口がどこまで力を発揮できるだろうか。
写真:午前スタートだった山口(右端)は、午後スタートでラウンド中の先輩・山本善隆(左端)のハーフターンを見守る。
★ 山口治
本格的にゴルフを始めたのは奈良県の八木中学校時代からだが、「父に聞くと、3歳くらいから、すでにクラブをひきずって悪さをしていたらしい」。
野球やサッカーには見向きもせず、ごく自然にツアープレーヤーへの道を目指して16歳のとき京都の吉野CCの研修生に。19歳で奈良ロイヤルに移り、20歳で資格認定プロテストに合格。それからしばらく試合に出れない時期を過ごし、95年のツアー予選会27位の資格で翌年からツアーに本格参戦した。
趣味はバイク。自宅には、ホンダスティード400ccと、カワサキ900ccの2台の“愛車”があり、気が向いたら自宅の奈良から伊勢のほうまで走らせる。
「でも、今年はケガが怖くて、今は家の飾り。たまにいじって気晴らしをするくらい」なのだそうだ。