思うようにスコアが伸ばせなかった前半の９ホール。アドレスがしっくり来ない。「なんとなく、モジモジして気持ち悪かった」。
そのせいでショット、パット共にどこか違和感を感じていた。

ひらめいたのは、インスタートの18番で７メートルのバーディチャンスが決まった後だ。
１番のティショットを打った瞬間、気がついた。
「左肩が前に下がり気味になっているのではないか･･･」。
最近、「ずっと調子が良いから」と、惰性で構えに入っているようなところがあった。
「でも、ちょっと体調を悪くしたりすると、そのルーティンが微妙にずれてくる」。
直感を頼りに、ややオープン目に構えるなど調整を加えた途端、バーディラッシュが始まった。

ショットがピタピタとピンに絡む。
チャンスは余さず、カップにねじ込む。
「入りだしたら、止まらない感じ。ラインさえ読めれば、どこからでも入れられる」。
ふてぶてしいまでの自信を取り戻し、一気にスコアボードを駆け上がった。

先週のオープンウィークも、ツアー外の２競技に出場してこれが7連戦目。
疲れはピークに達し、今週は風邪を引いてしまったが、「それでもここまでやれている。自分を誉めてあげたい気分だね」と、ニヤリと笑った。

今季、開幕と同時にふいに沸いて出たのが「とにかく勝ちたい」という思い。
それまでは、どちらかというと「稼ぎたい」という気持ちが先に来ていた。
優勝争いのあがり３ホールで、つい計算してしまう。
「この1打で、何万円差になるんだろう、って。とりあえず安全に上位に入って、これだけ稼いだら、あの時計が買えるとか、あの服が買えるとか･･･」。

どこか物欲を優先しているようなところがあったが、今年に入ってそれが一切消えた。
「もう何も要らないから。ただひたすら“名誉”だけが欲しいと思うようになった」と星野はいう。

目指すはただ、優勝の二文字のみ。
昨年は、道内で開催される３試合でいずれもトップ10入りを果たすなど、絶好の相性もある。
まだ確信、とまではいかないが「今週、そんな雰囲気がある」と、真顔で言い切った。

• 星野 英正