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中日クラウンズ 2005
芹澤信雄「僕だって、試合に出ています」
4組目、7時50分スタートだった芹澤信雄が、充実の表情でホールアウトしてきたとき、12時15分のスタートを待つ杉原輝雄と、クラブハウス前ですれ違った。
「芹澤君、がんばっとるやないか。ナイス!」。
「あぁっ、ありがとうございます!」。
恐縮して頭を下げた。
あまり飛距離の出ない芹澤にとって、杉原はいつも励まされる存在。5アンダーのフィニッシュに、「大先輩に、褒められちゃった」と、無邪気に喜んだ。
先週まで、変なプレッシャーがあった。ゴルフの調子は、けして悪くないのに2試合連続の予選落ち。
今年、キャロウェイゴルフと新しくクラブ契約を結んだ。「落ち目になった僕を、拾ってくれた」。
オフには、自ら米カリフォルニアにある本社まで出向き、細かくデータを算出して実験を重ねた末に、オリジナルモデルまで作ってもらった。
そんな感謝の気持ちを示すためにも、「なんとか結果を出して、恩に報いたい」という思いがあった。
それが、空回りした。
「こう見えて、僕って意外と律儀なもんで…(苦笑)。ちょっと、考えすぎていたかな、と気がついて。今週は、『もう、予選落ちしてもいいや』っていうくらい、気楽な気持ちでやろう、と気持ちを入れ替えたんです」。
肩の力を抜いたとたんの好スタート。硬く速いグリーンに対応して、「謙虚に手前から攻める」プレースタイルを貫いて65。
先週の、尾崎直道の優勝にも感動した。
「女子は10代だけど、男子は、やっぱり僕ら40代ががんばらないと」と、再認識した。
昨年から、「中年の星になる」を目標にがんばってきた。自分も、直道の後に続いてツアーを盛り上げたい、という気持ちで満々だ。
いまや、コースでかけられる声援は、「レッスン、見てるよ」とか、テレビのレッスン番組に関するもののほうが、多くなってしまった。
「それでは、寂しい。僕だって試合に出て、一生懸命にやってるんだってところを見せたいですからね」。
中年パワーで、ファンを男子ツアーに呼び戻す。