記事

UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2006

中嶋常幸「ゴルフは他力と自力と微妙な駆け引き」

80年代、数々の名勝負を残したAON。しかし、「あのころよりも、今のほうがずっと楽しい!」と中嶋はいう。全盛期、と呼ばれたころはもう済んだ過去。人生は、「今が一番大切だから」だ。
むしろ、「60歳を迎えたときに全盛期を迎えたい」。
本気でそう思えるのは、鍛錬のたまもの。

今季は、あえて試合数をグンと減らし、空いた週に「1試合を戦い抜くための体作り」に励んでいる。
きっかけは、昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズ。
その3日目、7番ホールを過ぎて呼吸できないほどの背中の痛みに襲われた。
どうやっても歩けない。足が前にいかない。

思わぬアクシデントに襲われて、「自分の年齢を認めざるをえなかった」。
ゴルフのレベルを落とさずに戦い続けるために、「体を作りなおさないともう無理だ」と、痛感した。

さらなる筋力、柔軟性のアップに本気になったのは、50歳を超えてからだった。
試行錯誤の末に、「誰がやっても飛ぶ」というトレーニングを編み出した。
その成果か、この日3日目は同じ組の33歳、髙橋竜彦より何度も前に飛ばしてみせた。

4年ぶりの優勝は欲しい。
「もちろん、いつもそれを目指してやっているからね」。
しかし、百戦錬磨の中嶋こそ知っている。
「勝負は時の運。ゴルフは、他力と自力と、微妙な駆け引き」。
接戦も戦い抜ける、という自信はあるが、要は「最後のひと転がりで、女神がどっちに微笑むか」。

それよりも、「痺れるところで回れるのが楽しい」と、中嶋は言った。
そして、「この年になっても、努力次第でやれる、というところを見せたい」とも。
「若手に伍して戦える技術を維持している。そういう背中を見せたい」。
その気持ちがまず先で、中嶋にとっては結果は二の次なのだ。

関連記事