記事

ファンケル沖縄オープン 1999

2位と5打差でスタートしていった東聡は、5バーディ、6ボギーで出入りの激しいゴルフ

 8番パー3でアプローチミスのボギーを叩くと、9番、340ヤードのパー4では、ティショットをグリーン左奥の植え込みの中に打ちこみ、あわやOBの大トラブル。第2打は、植え込みがジャマになって、ひとまずティグラウンド方向のフェアウェーに出すしかなく、3オン2パットのボギー。
 ハーフターンしてもボギーは止まらず4連続。

 そこで東は我に返った。「出来ないんであれば、元に戻そう」。

 そのホールまで、ある人物のゴルフが常に頭にあった。今季、ツアー2週連続優勝を飾り、目下、賞金ランク4位の伊沢利光だ。

「技術的にも精神的にも、非常に簡単にゴルフをやっているように見えるのに、非常にいいゴルフをする。あんな簡単にできるもんかな、と思って今年ずっと見ていた。自分もああいうゴルフがやりたくて、彼のように取り組んでみた」

 スタートから伊沢のゴルフをイメージにプレーしていたが、今回に限ってそれは失敗に終わってしまった。「すべて思惑と逆を行ってしまったみたい」(東)。

 ボギーが先行した時点で、東は再び自分のスタイルに戻してプレーした。

 途端に12番パー3で「いいショットが打てて」、2メートル半につけると、それから3連続バーディを奪うなど、なんとかこの日1オーバーまで引き戻して、首位にとどまった。

 前日あった2位との6打差は、『自滅』の形で一挙にちぢんで、1打差に。

「僕のゴルフは伊沢に比べて、“大まか”すぎる。細かい部分がまったく出来ていないと思う。当然、優勝したい。でも、自分のやりたいゴルフを実行する、ということも重視してプレーしたい。 明日は、下(2位以下)のことは気にしないでやる」 東は頑固に言いきった。

関連記事