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石川遼がプロ宣言

昨年5月のマンシングウェアオープンKSBカップで史上最年少優勝を達成した石川が、この日1月10日(木)にいよいよプロ宣言。
杉並学院高の岩本淺夫校長と、父・勝美さんとともに臨んだプロ転向の記者会見で、300人を超える報道陣を前にツアーメンバーの登録書にサインを済ませると、「今日は、自分の最高の夢をかなえるために、また一つ前進した日です」。
やや緊張した面持ちながら、おびただしい数のフラッシュにもひるむことなく、真っ直ぐに視線を上げた。
決断にいたる一番の要因は「プロになっても今の生活を続けられる、と確信できたこと」だった。
高校は辞めない、という。
どうしても生じる遅れは、補習授業やレポートなどで穴埋めしながら、あくまでも勉学との両立を目指す。
その一方で、「一人の社会人」としての責任もしっかりと果たす。
プロになれば、本戦前のプロアマ戦や社会貢献活動など、さまざまなイベントへの参加も求められる。
アマチュア時代のように、ゴルフだけに没頭できなくなることは必至だが、それらこそ「プロの一番の仕事」と、受け止めている。
過去にも高校生のプロはいたが、“現役高校生”がツアーに参加するのは史上初だ。
「これまでに前例がない中で、自分がどこまでやれるのか・・・。厳しいこともたくさんあると思うが、諦めないで耐えて頑張る覚悟もできた」と、石川は言う。
プロ転向の第一報が出たときに、莫大な契約金の話題が紙面を踊った。記事を鵜呑みにした妹の葉子ちゃん、弟の航くんが言ったものだ。
「お兄ちゃん、10億円だって!?すごいのねえ!!」。
そんな無邪気で率直な感想に、改めて気づかされた。
「プロになったからといって、何が変わるでもない。そんな妹たちに見習って、これからも素直にゴルフをやっていけばいいんだな、と・・・」。
どれほど世間で騒がれようが、家に帰ればいつもと同じように迎えてくれる。
そんな家族の存在があるからこそ、自分を見失わずに歩いていけると確信できる。
そしてそれは、石川にとって学校生活も同じだ。
この日、都内で行われた午後からの会見も、制服姿で現れた。
午前中にはきっちりと授業を受けてきた。
1、2時限目は音楽の自習だった。3時限目は世界史。
「アマチュアでいるのはあと何時間だから、一生懸命勉強しようとか思ったり・・・。クラスメイトと普段どおりに過ごせた」と、新しいスタートにも気負いはない。
プロとしてゴルフの道を究めつつ、今までどおり、同級生と過ごす時間も大切にする。それが遼スタイルだ。
「たくさんある中でも一番の夢は、マスターズで優勝すること」という高校生プロ。
でっかい目標をぶち上げて、いま急スピードで階段を駆け上がる16歳。
“プロ初戦”は、2月の全英オープン豪州予選(IFQ=インターナショナルファイナルクォリファイング)となる見込みだ。
真価が問われるのはまさにこれからだが「僕の中に、不安はまったくない」といつもどおりの笑顔で答えた。
石川遼のプロフィールはこちら
父・勝美さん(右)に見守られながら、ツアーメンバー登録書にサインを・・・