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PGAフィランスロピー 2000

横田英治が9アンダー、単独首位発進

どのホールもほとんどOKバーディ。1ピン距離のバーディパットを入れたのは、スタートの1番パー4だけ。「途中までは自分のスコアが、一体いくつなのかもわからなかった。ボードを見たときいつのまにかトップになってて、キャディと『あとはもう伸ばして行くだけだね』って話した」。
1イーグル、7バーディ、ノーボギーの62。この快スコアを叩き出したのは、「中学、高校の同期に田中秀道、片山晋呉は師匠が同じ(江連忠)、横田真一は大学(専修)のひとつ後輩」という、横田英治だ。
自分をはるかに超えていった仲間たち。特に、「ライバルだと思っていたヒデ(田中)の、今年あの活躍は励みになった。いつも気持ちの中にあった。自分がはがゆかった」という。

昨年のファイナルクォリファイングトーナメントはランク60位に終わり、それほど出場のチャンスはないものの、仲間を追って「今年こそ」と意気込んだ矢先。3月に、キャディバッグを積んだ車ごと盗難にあい、気持ちが沈んだ。
「オフに念入りに調整を続けてきたクラブだったのに…と、すごくショックでした。でも、メーカーのミズノの方がすごく良くしてくださって、なんとかやってこれました」

今年のツアー競技はこれまで、5月のマンシングウェアオープンKSBカップと、先週の JCBクラシック仙台。どちらの試合も、ショットの不安はまったくなかったという。
「ただ、短いパットがどうしようもなかった。もう、ここまで来たら、これ以上わるくなるなんてことはないから、なんでも試してみようと思った。それで、以前は『カッコ悪いよ』とか言ってバカにしていた“晋呉グリップ”に変えてやってみたら、途端に入り出したんです」(=写真)
師匠が同じで、普段からよく一緒に練習するという片山晋呉の、パット時の変則グリップ。右手でしっかり握って、左手は甲を上にして軽くそえる程度。片山が『ビリヤードグリップ』と呼ぶこの握り方を教わって先週から実践し始めると、パット急に決まり出して、なんとか予選通過。今週に入って、ますます調子は上向きになり、とうとうこの日の大爆発となった。

「僕にとっては、1勝でもしている人はもう、ものすごく“尊敬できる人”なんです。プロになって4年目。勝つってことの難しさは、もう身にしみてわかっているから。だから、僕の仲間はみんなすごいんです」
インタビューには、終始、穏やかな口ぶりで答えた。仲間の意見を素直に受け入れ、仲間の活躍を素直に尊ぶ様子に、誠実な人柄がにじみ出ているようだった。

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